(最終回)

施設の価値向上や入居者の満足度アップを総合的にプロデュースする、ビューティーライフは、コンシェルジェ(総合案内係)を目指し、サービス展開している。
楽しい時間を過ごしてもらう
老人ホームや介護施設の入居者を訪問する理美容サービスがある。サービスを提供する側が出向いてくれれば、外出することもままならない高齢者にとっては、ありがたいサービスだ。
ビューティーライフエージェンシーは、そうしたサービスを提供する企業の一つ。2006年から首都圏でサービスを開始し、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどを対象に、月1、2回のペースで訪問している。
美容室や理髪店で行うメニューを揃えており、料金は、有料老人ホームの場合、シャンプー、カット、ブローで2000円(税別)、カラー(カットとブロー込み)7500円、ネイルケアとカラーリングとフェイシャルエステ各2500円だ。
契約している実働スタッフは約40人。高齢者や身体の不自由な人と接するスタッフには、特殊なスキルや知識が求められる。そのため研修・教育にも力を入れる。
サービスの提供において、同社が重視するのは以下の3点だ。
一つ目は、作業ではなく、お客さまが喜んでもらえるか考え工夫し、責任を持ったプロの仕事すること。二つ目は、お客さまを最優先に考えること。三つ目は、顧客が毎回訪問を楽しみにしていることを常に意識し、サービスを提供することである。つまり、顧客に「非日常感」や「楽しい時間」を感じてもらうことをなにより大切にしている。
そうしたサービスを提供するには、スタッフが顧客と密なコミュニケーションをとる必要がある。技術のスキル向上だけではない、人材教育が必要不可欠なのだ。
詳細なマニュアルも作成している。介護の資格を持つ専任スタッフが、このマニュアルをもとに、月1回の徹底した研修を実施。200時間以上の実習・演習で技術を磨き、サービスレベルの向上に努めている。
マニュアルを見てみると、介護施設の基本知識に始まり、仕事の段取りからサービス提供時の注意点など、訪問から退出するまで、こと細かな説明がなされている。
例えば服装については、髪型、髪色、メイク、靴など細かく規定がある。施設内のマナーについては、挨拶、携帯電話の使用、禁煙などが記されているほか、コミュニケーションを円滑にするために、サービスを受ける人の要望の聞き方、使ってはいけないNGワード、敬語の使い方、困ったときの対処法、会話例なども具体的に提示している。
こうした細かな規定は、常に「施設にお邪魔している」意識で対応し、顧客に楽しい時間を過ごしてもらうために生まれたものだ。
同社の代表取締役社長の松丸裕之氏は「入居者をはじめ、家族、施設スタッフ、すべての人に『安心』『満足』、『付加価値』を提供できるビューティーライフの『コンシェルジェ(総合案内係)』でありたいと考えてサービスを展開している」と話す。
サービスを利用する施設には …