複数のチャネルを統合し、消費者が都合の良いチャネルを通じてサービスを受けることを可能にする「オムニチャネル」。2014年は1月にイトーヨーカ堂が「オムニチャネル推進室」を設置したことに象徴されるように大手企業が対応を本格化させた一年だった。今後も各社積極的な取り組みが予想されるなか、どんな対応をしていくべきか。ここでは各社の事例を紹介し、そのヒントを探る。


ローソン内に設置された端末「Loppi」。付属の受話器で、オペレーターにサポートしてもらいながら操作ができ、PCやスマホがなくても商品を注文できる。また、画面上から希望の商品を選択したり、店舗内に置いてあるQRコード付きの商品カードを端末にかざすことでも注文が可能。注文した商品は2~5日ほどで、店頭で受け取ることができる。
自社チャネルに加え他社とのチャネル統合が増加
セブン&アイ・ホールディングスでは、以前から書籍や化粧品などネット購入・コンビニ受け取りを可能にするなど、傘下企業を通じたオムニチャネル化を進めてきた。西武池袋本店にある「イケセイキレイ ステーション」での取り組みもその一環だ。また、13年6月に開設した埼玉県久喜市のネット事業専用の物流拠点を14年10月に本格的に稼働。今後は取り扱い商品をイトーヨーカ堂やそごう・西武、ロフトなどグループ各社の約300万品目に拡大し、即日配送にも対応していくことが計画されている。通勤前にネットでロフトの雑貨を注文し、帰りにセブン-イレブンで受け取るといった行動が可能になるわけだ。こうした注文・受け取りに関するオムニチャネル化はイメージしやすく、消費者にとってもメリットが分かりやすいため、各社の対応が急速に進んでいる。また、昨年は自社のチャネルを統合するだけでなく、他社との統合を進める動きも目立った。
一例がローソンである。11月、同社は ...