キリンビールは6月に発売したチューハイの新ブランド「キリンチューハイ ビターズ」の年間販売目標を9月に上方修正。当初目標数の3倍、300万ケース*を目指す。合言葉は「『とりあえずビール』から『とりあえずチューハイ』へ」。一杯目をビールでなく、チューハイにしてもらおうという、「チューハイ事業部の謀反」だ。11月25日には期間限定商品を発売し、さらに販売を加速させる。

「キリンチューハイ ビターズ」のラインナップ。右から「ほろにがグレープフルーツ」「ほろにがレモンライム」「スパイシージンジャー」の定番3商品と、11月から期間限定発売する「ほろにが柚子」。「ほろにがい」と銘打ったのも販売好調の一因だ。
*1ケースは250ミリリットル×24本換算
今回登場する仕掛け人は、キリンビールで「キリンチューハイ ビターズ」の商品開発、プロモーションを手がける中村早織氏。味やパッケージなど、従来のチューハイに抱かれていた先入観を覆し、ビールの座奪取を狙う新商品を開発。チューハイでは珍しく飲食店での展開も始まっており、「とりあえずチューハイ」の実現も夢ではなくなってきた。

中村 早織氏
キリンビール マーケティング部 商品開発研究所 新商品開発グループ
─若年層を中心に「酒離れ」が指摘される中、支持を集めています。
確かにお酒のカテゴリーは、ビールをはじめ焼酎や清酒などがダウントレンドと言われています。
その中で右肩上がりに伸びているのが缶やビンに入っているチューハイやカクテルが代表的な「RTD」カテゴリーです。缶やビン入りで、買ってすぐに飲めることから、「Ready To Drink」の頭文字を取ってRTDと呼ばれています。このRTDの中でも、特にアルコール度数8%以上のいわゆる「ストロング系チューハイ」が成長をけん引しています。「キリンチューハイ ビターズ」は、この市場のユーザーであるお酒の関与が高く嗜好性が高い層に向けた商品です。
ストロング系チューハイ市場が伸びている理由を当社で調べたところ、これまでビール、発泡酒や新ジャンル、そして焼酎を飲んでいた方が流入していることが分かりました。
さまざまな流入の要因があると思いますが、消費増税のさなか、アルコール度数が高いので一本でもしっかりと満足できること、RTDが持つ固有の価値である気軽さが挙げられると思います。ただ、「しかたなく…」という気持ちも見え隠れします。もし、もっとポジティブな理由で手に取っていただけるようになれば、さらに市場を拡大できると考えました。
─どうすれば、「買いたくなる気持ち」が高まると考えたのですか。
ビール類や焼酎を楽しむ方に共通するのは…