話題を集めたプロモーションを手掛けるプランナーの企画書を公開する、人気連載コーナー「これがプロの企画書だ!」。
今月は、全日本DM大賞で銀賞・クロスメディア部門を受賞した企画書を公開します。
※雑誌の定期購読者の方はこちらの企画書のパワーポイントデータを、ダウンロードできる特典が付いています。
作成者
ダイレクトマーケティングゼロ代表取締役 田村雅樹氏 たむら・まさき/早稲田大学法学部卒。ベネッセコーポレーションにてダイレクトマーケティング、戦略策定マネジメントなどを約10年担当し、同社でNo.1レスポンス率を誇る。その後、大手化粧品通販会社にてCRM事業部長に就任。赤字事業を1年で黒字化し、2年で300%以上を成長。2009年独立し、50社以上の通販コンサルティングを行う。第27回全日本DM大賞5作品受賞。講演・寄稿多数。 |
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- 2012年の立命館アジア太平洋大学(Ritsumeikan Asia Pacific University:以下APU)への外国人出願者を増加させたい。
- 入学にはトータルで約400万円かかる。そのハードルを越える企画がほしい。
- フェイスブック、ユーチューブなどのSNSを使っていきたい。
- できるだけ費用はかけずに、効率的にアプローチしていきたい。
オリエン内容

プレゼントーク(1)
今回の企画のゴールは、「APUへの出願」です。入学にはトータルで約400万円かかるため、かなり高額な商品と言えるでしょう。2011年3月の震災後、地震などへの不安から日本への旅行者がガクッと減ったのは記憶に新しいと思います。また、旅行ではなく留学となるとさらにハードルが上がります。この状況の中で入学してもらうためにどうすればよいのか事前調査を行ったところ、コミュニケーションが一つの鍵だということが分かりました。
- 事前調査を行い、ゴールへの障壁は何かを確認する。
ポイント(1)

プレゼントーク (2)
2012年に取る戦略は次の三つです。 一つ目は、広告宣伝とブランディングの効果を検証・分析できるシステムを構築すること。二つ目はテストマーケティングを設計し、LPO・リスティング広告の効果を把握し、PDCAを回せる状態にすること。三つ目は多角的プロモーションを行うことで、効果を最大化することです。これにより外国人出願者をアップさせることができます。その根拠を説明します。
- 指標を設定し、今回のプロモーションのゴールを見せる。
- フェーズごとの内容と効果を提示して、ゴールまでの流れを見せる。
ポイント (2)

プレゼントーク(3)
外国人出願者増加のためのウェブ&リアル戦略の全体像がこれです。学生にAPUへの興味を持たせ、検索してもらうところから、欲求を喚起させて出願、受験するまでの各プロモーションやキャンペーンの位置づけはこのように設定しました。
- 目標を達成するための具体的なプロモーションフローを提示。
- どのような流れになっているのか、ターゲットの「心理」と合わせて説明する。
ポイント(3)

プレゼントーク(4)
フェーズ1では検証システムを構築します。効果測定をきちんと行うためには、接触点であるページにタグ付けをして、アクセス内容を把握することが必要です。アクセス内容を把握することで、「刺さる」コミュニケーションのための改善を行うことができます。
「刺さる」コミュニケーションをするため、例えば以下の三つのような最適化ができます。
- 改善することで、どのような効果があるのか具体的に提示する。
- 次のステップや改善点を合わせて提示する。
ポイント(4)

プレゼントーク(5)
「刺さる」プロモーションを行うため、LPOとテストマーケティングを行い、勝利の方程式を導き出したら、次は集客のためのプランニングです。学生に認知させるために、プロモーションはPULL型とPUSH型の2方向から行います。APUの強みである各国の学生が在籍することをプロモーションに生かすため、予算はこのように配分します。目標となるKPIも併せて記載しています。
- 具体的にKPIを提示する。
- クライアントの優位性を考慮する。
ポイント(5)

プレゼントーク(6)
次は集客のターゲット設定です。集客のプロモーションは画一的に行うのではなく、狙うべき対象国をニーズ別に分類し、それぞれに最適な媒体を選択し訴求していきます。APUへ入学する目的は国ごとに異なっているので、刺さりやすいメインの媒体や訴求内容をそれぞれに用意することで、資料請求の率を高めます。
- 顧客をセグメント化して、それぞれに合ったプロモーションを行う。
ポイント(6)

プレゼントーク(7)
次に、APUに興味を持ってもらうための集客キャンペーンです。キャンペーンは各国共通の関連性が高い、魅力的な内容にすることで、資料請求の後押しをすることができます。例で挙げたキャンペーンは「動画とマンガで日本がわかるキャンペーン」です。例えば、日本の文化であり、海外でも人気が高いマンガ。このマンガをプレゼントすることで、もっと日本やAPUに興味を持ってもらうといった効果が生まれます。
- キャンペーンの例を提示することによって、どのようなキャンペーンにするのかをイメージさせる。
ポイント(7)

プレゼントーク(8)
フェイスブックの公式ページではニーズ別にページを作成し、それぞれの心理がどう変化するのかを想定します。来訪者は入学したいという気持ちがある一方、その希望が叶えられるかを不安に思っているので、その不安を安心や共感に変えていきます。フェイスブックでAPUの魅力を伝えている先輩たちは、数年前に来訪者と同じ立場だった人。その先輩がAPUでの入学を選び、充実した学生生活を送っていることを伝えることで、同じようにAPUに入学したいという気持ちを醸成させることができるのです。
- ターゲットを効果的に説得できるのはだれか、効果的な方法を探る。
ポイント(8)

プレゼントーク(9)
最後に、不安を解決するコミュニケーションの具体案をまとめました。フェイスブックでは、先輩の生活が見られるほか、リアルタイムで回答がもらえるサービスを行い、不安をすぐに解消できるようにします。ユーチューブでは学園生活を動画で見てもらうことにより、実際の生活を疑似体験してもらいます。さらに、DMでは子どもだけでなく、親に向けたパンフレットを入れることにより、入学する子どもと費用を負担する親にも安心してもらえるコミュニケーションを図っていきます。
- 細かい落とし込みの部分まで考える。
- 例を挙げることで、クライアントとより具体的な意見を交わすことができ、精度が高まる。