[PR] 広告制作会社が地域を活性化 トレ食が挑むサステナブルな新規事業

公開日:2025年9月01日

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広告制作会社のトレードマークは、2018年に関連会社として地域活性化事業を行う「トレ食」を福島県に設立。食を中心とした事業とクリエイティブを掛け合わせ、地域活性の新たな道筋を切り開こうとしている。

三井グループ コピーライター/クリエイティブディレクター 三井明子さん、トレードマーク代表取締役 玖島裕さん、トレ食 代表取締役 沖村智さん、アートディレクター 副田高行さん。

企業の広告制作の知見を、地域に活かす

富士フイルム、サントリーなど、さまざまな企業の広告を手がけてきたトレードマーク。その関連会社として2018年6月、福島県南相馬市に設立されたスタートアップ企業「トレ食」では今、もみ殻を分解してアップサイクルする事業「こめぐり」を展開している。なぜ広告会社が食に関わるサステナブルな事業を手がけるのか。トレードマーク 代表取締役の玖島裕さんによれば、2012年に広告制作のため鳥取県を訪れたことがきっかけだった。「撮影で鳥取県を訪れた縁で県の広報活動を手伝うことになり、鳥取支社を立ち上げました。地域活性化がより注目される少し前です」。

現地では質の高い企画や制作物を生み出していた自負はあったが、盛り上がりが持続しないという課題も露呈。その根本的な解決のために自ら事業を立ち上げることを決意し、トレードマークの地域事業をベースとして、新たに立ち上げたのがトレ食という会社だった。「地域の課題は『経済が回っていない』ということなんです。活性化のためには、情報発信の先に進む、つまり自ら事業をやるしかないと。地域経済において一番身近な食の分野に特化した会社とし、被災地でやってこそ意義があると考えて、縁もゆかりもない福島県に会社を設立しました。広告の力と事業を融合した、新しい取り組みを志したんです」。

サステナブル事業に可能性を見出す

茨城県では高糖度トマトの栽培を手がけたり、福島で新米のPRに携わったり。さらに熊本地震をきっかけに、熊本市の企業と協力して、当時“米余り”が問題となっていたことから玄米ペーストを販売しつつ玄米料理を提供するレストラン「玄米玄氣堂」をオープン。地域で食に関わる事業を展開していった。「ところが、何をやってもうまくいかないんです。それまで受託案件ばかり手がけていたからか、経営感覚がなかったんですね。それでこの頃にはもう途方に暮れて、クリエイティブもへったくれもないという気持ちになっていました(笑)」。

そのような状況のなか、玖島さんとともに活動していたトレ食代表取締役の沖村智さんが着目したのが、食品を水だけで細かな成分に分解する「加水分解技術」。玄米玄氣堂で提供していた玄米ペーストの製造方法改善を模索するなか、この技術を活かして、もみ殻からセルロースを抽出するというアイデアにたどり着いた。セルロースはプラスチックの代替品として注目されている天然素材。今、世界では脱プラスチックの動きが盛んで、多様な製品に成形可能なセルロースに期待が集まっている。

「加水分解装置を使うともみ殻からセルロースを取り出すことができますし、タンパク質は魚の餌に、ミネラルは田んぼの肥料に、炭水化物はバイオマス燃料になる。こうして、もみ殻の成分を循環させるという流れを生み出そうとしています」。

複雑な事業内容の「価値」を伝える

事業化の目処が立ち、次に課題としたのが、複雑な事業の価値を世間に伝えること。

「お米の循環に加えて、経済の循環を起こさなければ地域は元気にならない」と考えたからだ。そこで、事業価値をわかりやすく表現するためのクリエイティブを、コピーライターの三井明子さん、アートディレクターの副田高行さんに依頼した。

三井さんは相談を受けた当初、社名の変更を提案したのだと言う。「思いきって、現在の事業に合った社名に変えたほうが良いと思いました。ただ、登記上の問題などもあって社名変更は難しいと伺って…。プロジェクト名として『お米の循環』という価値を伝えるネーミングとステートメントをご提案しました」。そして生まれたのが「こめぐり」というブランド名。さらにロゴデザインを副田さんが手がけた。「僕は本当に広告一筋でやってきました。デザインや言葉で難しいことをやさしく伝えるのが仕事です。これまで大手企業の広告をつくり続けてきて、日本の経済の力に少しはなれたのかなと思っていますが、近頃はトレ食のような社会貢献にも役立てたほうがいいのではと考えるようになりました。それは人間として、アートディレクターとして、デザイナーとしての使命のようなものではないかと思っています」。

三井さんが考案した「こめぐり」のロゴ。デザインを副田さんが担当した。

「こめぐり」のステートメント。

もみ殻から抽出したセルロースを用いて製造したカトラリー。

事業×クリエイティブが地域活性の鍵

クリエイティブができたことで、企業からの問い合わせが増加し、2025年1月には「東北アントレプレナー大賞」受賞、3月には米の卸業者・ヤマタネ、JA新みやぎと協定を締結。事業の価値が伝わり、本格的に動き出すことができた。「広告の知見を活かして地域を元気にするという思いで諦めずにやってきました。今はもみ殻のセルロースで自治体のゴミ袋をつくるという取り組みも行っています。ぜひ『こめぐり』の名称とロゴを入口に、多くの人と事業を活性化していけたら」と沖村さん。

最後に玖島さんが語ったのは、地域におけるクリエイティブの意味。「SNS全盛の時代で、本質的なクリエイティブは体力のある大手企業よりも、むしろ地域の中小零細企業にこそ必要なのではないかと身に沁みています。事業を展開していくなかでクリエイティブは無力だと感じたこともありましたが、今ここに至って、やはりクリエイティブがあってこそ成立しつつある。地域こそ事業とともにクリエイティブを考えていくことが理想であり、地域活性化の道標になるのだと感じています」。



    お問い合わせ

    トレ食株式会社

    電話番号:0244-32-0605
    メールアドレス:pr@syokulabo.jp

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