AIなどが浸透する中で、企業の競争力を高めるために今、“創造性”の活用が重視されている。そこでアマナでは2024年から、組織やプロジェクトの課題に応じてクリエイティブの専門人材を提供するサービス「Great RIVER」を開始した。

アマナGreat RIVER Dept. Department Manager 山根尭さん、同 杉山諒さん。
外注でも内製でもない新たな選択肢
企業・ブランドのクリエイティブ戦略立案や企画制作は、広告会社や制作会社へ発注するケースが依然として多い。すると「事業に対する理解が十分ではない」「施策に対する実行スピードが不足してしまう」「ノウハウが社内に蓄積されない」といった悩みが付きものだ。事業会社内でインハウスのチームを持つことができればベストだが、求める人材の採用が難しかったり、組織的な対応力を備えるまでには一定の時間がかかったりという課題もある。
そんなクリエイティブ人材にまつわる悩みを解決するのが、アマナが2024年から開始した「Great RIVER」。組織の課題に合わせ、プロジェクトの悩みを解決する専門人材が併走して支援することで、企業の課題解決に貢献する機会創出を促進する取り組みだ。冒頭で述べた外注と内製化、それぞれのジレンマを抱える組織に新たな選択肢を提供することができる。

参画するのは、新規事業開発からマーケティング、ブランディング、プロモーションなどあらゆるプロジェクトで豊富な実績をもつプロフェッショナルたち。自社だけでは得られない視点や斬新なアイデア、専門的な知見とともに、共創を通じて事業やプロジェクトの本質的な価値を高め、組織内に持続可能なクリエイティブ力を根付かせていくことをゴールとしている。
アマナで「Great RIVER」の事業責任者を務める山根尭さんは次のように強みを説明する。「トップクリエイターのようなスキルを持つ人材は採用市場には出てこない。一方でメディアで多く取り上げられるような著名なクリエイター以外にも、優秀な人材がたくさんいます。私たちがこれまでの活動で築いてきたネットワークを活用することで、一気通貫で企業を支援するメンバーを提供できます」。
専門人材だけでなく、アマナが多岐にわたる分野で培ってきたプロジェクトデザインの知見を活かし、各企業の課題などをサポートしていく。たとえばアマナの制作能力やネットワークを活かした企業同士のマッチングなどの支援も可能だ。「戦略設計から実行まで、責任を持つような専門人材を提供します。特定のタスクだけではなく、実行後の検証まで責任を持つようコミットしていきます」(山根さん)といい、従来の人材派遣やスポットワークといったサービスとは一線を画する価値を提供している。
創造性の重要度が高まる理由とは
なぜ今、組織の競争力強化のために、クリエイティビティを持つ人材がより一層重視されるようになってきたのだろうか。同じくアマナで「Great RIVER」の責任者を務める杉山諒さんは、背景について次のように説明する。「モノも情報も飽和してコモディティ化し、企業やブランドは物質的な豊かさや機能性による差異化が難しくなっている。その中で精神的な充足や情緒に響くストーリー、まだ形になっていないような問いを投げかける力が求められます。
特に企業のビジョンは“私たちは未来に向けて何ができるのか”という問いから生まれるもの。そのビジョンやストーリーに共感してもらえなければ、ステークホルダーの心を動かすのは難しい。このように曖昧だった問いに形を与えるのがクリエイティビティだと思います」(杉山さん)。
創造性の重要度が高まる一方で、多くの組織では「論理が先行し、クリエイティビティを生むはずの余白や対話が不足している」「個々人の創造性が尊重されない」「当初は活気のあった組織も、順応していくと外部刺激が不足し硬直化していく」といった共通の課題を抱えがちだ。
杉山さんはそれらの課題について、「越境する創造性人材」が突破口になり得ると指摘する。山根さん、杉山さんともにアマナに所属しつつNTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)に出向して活動し、自ら「越境」を実践してきた。「企業や役割を横断して活動してきた人材は複数の視点を持っている。彼らが併走することで、淀んでしまった組織が持つ“知の偏り”を揺さぶることができる。外部からの創造的摩擦が起きれば、組織は創造的な状態になる」と杉山さん。“流動性”を組織にデザインすることで創造性の循環が生まれるという。
創造性人材による「越境」の成功例
「Great RIVER」では、これまでも新規事業開発やマーケティング、ブランディングのほか、街づくりといった領域で人材提供の実績を築いてきた。

ある消費財メーカーのケースでは、「複雑なコミュニケーション戦略の統一」という課題解決のため、ブランディングディレクターとデザインディレクターが参画。半年間にわたって現場社員と業務をともにしたことで、最終的には顧客調査、ガイドラインやコンテンツの開発にとどまらず、社内風土の変化にまでコミットした。「それまで社内から自発的な意見が出づらい状況だったそうですが、導入を機に社員から能動的にアイデアが出ることが増えるなど、ポジティブな変化が起こった例もあります」(山根さん)。
これからの企業組織のつくり方について、杉山さんは「“ビッグレイク”ではなく“グレートリバー”が必要」と話す。「どれほどの最強チームを組めたとしても、大きな湖は数年経てば淀んでしまう。時代の流れに乗ってしなやかに対応できる“グレートリバー”という考えが必要。アマナの社内で長く受け継がれてきた考え方であり、サービス名の由来にもなっています」。
論理的思考をAIが担うようになる今こそ、創造性を発揮するためのサービスが必要ではと山根さんは言う。「実績のあるクリエイターたちをいかに組織に組み込んでいくかが、企業の競争力を高めるために重要になります。そのひとつの手段として私たちがサポートできればと考えています」。

お問い合わせ
株式会社アマナ 担当:山田将太郎
メールアドレス:greatriver@amana.jp