難波田龍起 ほか今月の展覧会情報

公開日:2025年8月19日

難波田龍起

難波田龍起(なんばた・たつおき)(1905-1997)は、日本における抽象絵画のパイオニアとして大きな足跡を残した。大正末期に詩と哲学に関心をもつ青年として高村光太郎と出会い、その薫陶を受けるなかで画家を志した難波田は、身近な風景やいにしえの時代への憧れを描くことで画業を開始。戦後は抽象へと大きく制作の舵を切り、海外から流入する最新の動向を咀嚼しながらも流されず、特定の運動にも属さず独自の道を歩んだ。その作品は、日本における抽象絵画のひとつの到達点として高く評価されている。本展は生誕120年を機に、東京オペラシティアートギャラリーはもとより国内の美術館の所蔵品、また個人蔵の作品なども交え、その画業の全貌を20年ぶりに紹介し今日的な視点から検証する。

《たたかいの日々》1963 世田谷美術館蔵

難波田龍起

東京オペラシティアートギャラリー
開催中、10月2日まで
月曜、8月3・12日、9月16日休館
(8月11日、9月15日は開館)
お問い合わせ→050-5541-8600(ハローダイヤル)

ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―「民藝」から現代まで

タイトルにある「ピクチャレスク」は、「絵画的な」「絵画のように美しい」といった意味を表す美術用語。18世紀イギリスでは庭園や景観の美を示す言葉として用いられ、建築や造形の分野において、新時代の美意識を導いた概念ともされた。そうした言葉の広がりに重ね合わせ、本展では、絵付けされた陶器に留まらず、平面と立体がダイナミックに融合した形態や、メディアを越境して表現を更新していくような造形のあり方にも注目する。個人作家による創作陶芸の礎を築いたとされる富本憲吉やバーナード・リーチ、民藝運動を推進したことでも知られる河井寬次郎や濱田庄司にはじまり、伝統的な技術を革新した陶芸家、前衛陶芸の旗手、茶陶の名手、海外の作家、1960~80年代生まれのアーティストまで、約50名の作家の作品を展示。総計約120作品による共演を楽しめる。

河井寬次郎 《三色打薬貼文扁壺》
1960 年代、陶器、個人蔵

ピクチャレスク陶芸

パナソニック汐留美術館
開催中、9月15日まで
水曜、8月12~15日休館(9月10日は開館)
お問い合わせ→050-5541-8600(ハローダイヤル)

深瀬昌久 写真展「洋子/遊戯」

1960年代から70年代の日本は、新しい写真表現を生み出す写真家たちが数多く出現した豊穣の時代だった。深瀬昌久(1934-2012)は、その中でも徹底的に...

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