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「CM表現」を再考するデバイス多様化時代 監督たちの挑み方

「SNS上でつい目に留まる」強い映像の演出の裏側

anoの『ちゅ、多様性。』のMVや日清食品「カップヌードル」のテレビCM「夏は食っとけシーフード」篇など、一度見たら忘れられないキャッチーな映像づくりに定評がある渡邉直監督(GLASSLOFT)。その映像はどのようにしてつくられているのか。演出の特性や制作過程の特徴などを、複数のCMで協働した電通のCMプランナー早坂尚樹さんが紐解く。

一枚絵の強さの理由は

早坂:直さんと最初に仕事をしたのは2019年のVTuberの輝夜月(かぐやるな)を起用した「日清焼そばU.F.O.」のCM「マキシマムザ輝夜月2」でしたね。その後、さまざまなCMでご一緒させていただいて、最近では、日清食品「カップヌードル辛麺」の「フィギュアダンス」篇などもそうです。当時から変わらず感じている直さんのすごさは、カット1枚1枚の絵が強いところ。SNSにCMを載せた時のサムネイルがきちんと計算されているし、CMの一部分を切り取っても全体を理解できる。CMを最初から最後まで見てもらうことが難しい時代に、親和性が高いのだろうなと思います。

ano『ちゅ、多様性。』ミュージックビデオより。

日清食品「カップヌードル 辛麺」の「フィギュアダンス」篇。

渡邉:ありがとうございます。この間鈴木晋太郎さん(電通)と話した際も、「アートディレクションの面に強みがあるんじゃないか」って言われて、たしかにそうかもなって。元の企画がそもそも面白いものが多い、という前提なんですが、SNS上でバズるような面白いWeb動画をつくれる人はたくさんいるので、僕個人としては引きの強い画や映像をつくるというところに自然と重きを置いてきました。MVでもCMでも、どのカットがサムネイルになるかを演出コンテの時点でイメージして、それを強くすることを考えています。

早坂:YouTubeなどのようにこちらでサムネイルを指定できる場合もありますが、Xではフィードをスクロールしていると、動画は最初の部分だけが再生されるじゃないですか。一瞬だけだから内容は全然わからないはずなのに、直さんの映像は、最初のカットから強くて引きになっていますよね。『ちゅ、多様性。』もまさにそうでした。

渡邉:たしかにXでは最初の1コマが大事ですね。これはCMから学んでMVで活かしているんですが、強い画を出し惜しまないようにしています。いつも、洗い物をしてる親が「ん?これなんだ?」ってテレビの方に目を向けてしまうような映像をつくりたいなとイメージしていて。Xでも最初の1コマで振り向いてもらえるか、というのを意識していますね。

早坂:なるほど。逆にMVでの豊富な経験は、CMの演出に影響があったりしますか?強い絵と、そこにぴったりハマる癖になるような「音の合わせ」が特徴的だと感じているんですが。

渡邉:音の合わせはたしかにあると思います。ただ最近だと...

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2024年を迎える今、CM制作のクラフト部分を担う映像監督たちはどんなことを考えているのか――。タイムパフォーマンスを重視する視聴者たち、映像フォーマットの多様化、オンライン動画が担うべき役割の目まぐるしい変化、広告か否かの境界線の曖昧さなど、数々の課題を抱える中で、変わってきたこと・変わらないこととは。また、クリエイティブ制作においてどんな役割を担っていくことでよりよい社会をつくることに繋がるのか。話題のCMの演出を手がけている気鋭の監督の声のほか、主要制作会社のトップ・責任者による2024年の戦略と方針もあわせてお届けします。