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「CM表現」を再考するデバイス多様化時代 監督たちの挑み方

リアリティのある空間と行動のずれから生まれるユーモア

長崎県南島原市のWeb動画「突撃!南島原情報局(神回)」、松平健を起用した松屋のテレビCMシリーズ、ソフトバンク「神ジューデン」シリーズなどを手がけてきたディレクターの渋江修平さん。独特のユーモアのあるCMで知られている。2023年には、漫画原作のドラマ『パリピ孔明』(フジテレビ)の演出も担当。現代日本に転生した名軍師・諸葛孔明がシンガーを志す月見英子と出会い、天才的な戦略で後押しする――。そんな突飛な設定の作品を実写で描ききった。業界を超えて求められる渋江さんの演出はどんな思考のもと生まれているのだろうか。

そもそもCMは見られていない、という前提

テレビCMやWeb動画といった広告をメインに、テレビドラマ、ミュージックビデオなどさまざまな映像を手がける渋江修平さん。特に広告においては、満島ひかりが天草四郎や市役所の職員、素麵づくり名人の妻など複数役を演じた長崎県南島原市「突撃!南島原情報局(神回)」、松平健がオーロラのカーテンをかき分けて登場する松屋の「マツベンサンバ」シリーズなど一癖も二癖もある異様な状況に、つい笑ってしまうような内容が多い。

長崎県南島原市のWeb動画「突撃!南島原情報局(神回)」。

どのように考えて演出をしているのか。「そもそも、CMはあまり求められていないことを前提としてつくるべきだと思っていて。説明をたくさん詰め込んでも、世の中にそのまま伝わるというわけではありません。なので、できる限りの伝える工夫を凝らした上で、結果的に最低限の情報しか伝わらなかったとしても、『なんか面白かったな』という印象を残せたら、結果的に企業やブランドの好感度は上がるんじゃないかと考えています」。

「変顔で笑わせない」

しかし、面白さにもさまざまな方向性があり、渋江さんには独特のルールがある。「端的に言うと、変顔で笑わせないということでしょうか。『面白いこと』をやって、それ単体で面白いと思わせることって、すごく難しいんですよ。だから登場人物に何かそれ単体で面白いことをさせるのではなく、ある必然の状況や空間と、登場人物の必然の行動、それらの関係性から生じる、リアリティのある面白さに興味があります」。

そう思うようになったきっかけとして、あるお笑い番組が頭に残っている...

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2024年を迎える今、CM制作のクラフト部分を担う映像監督たちはどんなことを考えているのか――。タイムパフォーマンスを重視する視聴者たち、映像フォーマットの多様化、オンライン動画が担うべき役割の目まぐるしい変化、広告か否かの境界線の曖昧さなど、数々の課題を抱える中で、変わってきたこと・変わらないこととは。また、クリエイティブ制作においてどんな役割を担っていくことでよりよい社会をつくることに繋がるのか。話題のCMの演出を手がけている気鋭の監督の声のほか、主要制作会社のトップ・責任者による2024年の戦略と方針もあわせてお届けします。