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AIの民主化で際立つ人間・文化の視点 世界のクリエイティブ

審査員と応募者双方の視点からひも解く企画の見方

カンヌライオンズ2023のインダストリークラフト部門で審査委員長を務めた電通の八木義博さん。今回、自身が手がけた作品が同部門でグランプリとゴールドを受賞。審査員と応募者、両方の視点から企画の「見方」を聞いた。

AI時代にクラフトの価値を再定義する審査方針

八木義博さんが審査委員長を務めた、カンヌライオンズのインダストリークラフト部門は、その役割を「美しく遂行されたソリューションを提供し、創造的なアイデアに命を吹き込むために必要な、創造的な芸術性、才能、技術をたたえる」と定義している。審査にあたっては、これを今の時代に合わせてもう一歩ひも解き、「何を」「どのようにして」「誰が」審査するのかをクリアにしようと試みた。

重視したのは、応募者がきちんとブランドのことを考えて取り組んでいる仕事が、適切に選ばれること。そこで審査員たちには事前審査の段階で、ブランドとユーザーとのエモーショナルな繋がりを重視し、ケースビデオやプレゼンボードの背景に何があるのかを読み解こうとする姿勢で取り組んでもらうよう話した。さらに実際の審査にあたる際の指標として、「便利さよりも豊かさを」「機能よりも感情を」「効率よりも夢を」と3つを提示した。

八木さんはこう定めた理由を、AIが台頭する現代に、クラフトの在り方を改めて発信する必要があると考えたため、と話す。

「審査でAIの話題があがることは目に見えていました。クラフトって、この方法論であれば一定の基準のものができるとか“狙い目”だとか、つまりAIで代替されうるものとして語られることが多いんです。戦後の経済成長を背景に、こう記載すれば流通に乗せてもらえる、と機能や利便性を追求してきたので。でもそれでは差別化できなくなった現代、本来の、ブランドのメッセージがまずあり、それを伝えるために流通や広告がある、という形に立ち返ることが大切だと考えています。ブランドのメッセージを伝えるために、その人格やビジョンにどう姿を与え、生活者に最も近い接点としてクラフトが何をしたのか、その結果ブランドやそのビジネスにどう変化を与えたのかを慎重に見るべきだと思いました」。

この方向性に対して、9人の審査メンバー全員が前向きに賛同したという...

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AIの民主化で際立つ人間・文化の視点 世界のクリエイティブ

生成AIの活用シーンの広がり、それに伴うクリエイターの役割の変化などが日々議論されています。テクノロジーとクリエイティビティの関係も変わりつつあり、大きな転換点を迎えつつあるともいえます。そのような状況下で、世界のクリエイティブの流れはどこに向かっているのでしょうか。AIの民主化が進み、人間性(Humanity)や文化の視点が問われるようになってきた今。先ごろ結果が発表されたカンヌライオンズ、The One Show、D&AD、Clio Awardsなどグローバルの各種広告関連アワードの審査結果や入賞事例、現地に足を運び世界の潮流を捉えてきたクリエイターたちの声を交え、考えていきます。