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企業の資産を活かす 事業デザインのための「共創」プロセス

地域資源との共創 創業150年の酒蔵のリブランディング

日本酒の製造と観光施設の運営をなりわいとしてきた浅間酒造(1872年創業)は、2023年4月、リブランディングを発表した。今後、新たな銘柄の日本酒や、観光施設のリニューアルも実施するという。

リブランディングに伴い変更したロゴと、6月末からオープン予定の「山麓マーケット」のロゴマーク&タイプ。ロゴは先代から続く瓢箪のロゴマークを継承した。(グラフィックデザイン:服部一成)

対話を繰り返し、イメージを具現化

草津温泉の玄関口、群馬県長野原町に蔵を構える創業150年の酒蔵、浅間酒造。日本酒など酒類の製造・販売のほか、「浅間酒造観光センター」という蔵併設の観光ドライブインも運営している。そんな歴史ある酒蔵が150年の節目となる2022年、リブランディングプロジェクトを開始した。

「もともと、日本酒の国内需要が減る中で、これまでの観光メインの事業展開を継続するだけでは限界があるのでは、と思っていました」と語るのは、浅間酒造 代表取締役の櫻井武さん。会社として新たな取り組みをすべきと考えてはいたものの、実行には移せずにいたという。そんな中、2020年にコロナ禍となり「浅間酒造観光センター」を軸に事業を行っていた同社は、行動制限の影響で観光事業が苦戦。来客の減少により酒類需要も減ったため、これまで着手できずにいた新たな取り組みを、いよいよ本格的に動かす必要が出てきた。そこで発足したのが、今回のプロジェクトだ。

プロジェクトのスタートについて、櫻井さんは次のように振り返る。「僕自身、危機感やアイデアはあったものの、それを具体化することができていませんでした。そこで、やるべきことをより明確に言語化し、会社全体を巻き込んで推進するために、クリエイターの力を借りることにしました」。

そこで知人の伝手で知り合ったSTUDIO SKETCH 代表の関根将吾さんに相談を持ちかけ、クリエイティブパートナーとして参画してもらうことが決まった。

パートナーとしてプロジェクトに携わるにあたって、関根さんは浅間酒造の課題をどのように捉えたのだろうか。「櫻井さんとはなるべく直接会って、対話することを重視しました。最初に話をした際、自社に対するさまざまな想いや意志があり、熱量はあるものの、どうやってそれを実現したらいいかわからない歯がゆさのようなものを感じました。そこで、自分が入って伴走することで、構想を一緒に実現できるのではないかと思いました。そのためには何度も膝を突き合わせてコミュニケーションをとり、双方の頭の中を共有し合うことが重要でした」(関根さん)。

クリエイティブパートナーとして働く以上、その周辺の町や土地を知らないわけにはいかない。関根さんはオフィスのある東京から2時間以上かけて現地に赴き、地域の暮らしや浅間山麓の豊かな自然を理解していった。

実体験や櫻井さんとの対話を半年ほど繰り返す中で、解決策として浮かんだのが、酒づくりと観光の2つの資源を活かし、長野原町だけではないコミュニティを形成していくことだった。

「櫻井さんと話す中で、地元の長野原町というコミュニティは大切にしつつ、でもそれにとらわれ過ぎることはない、と感じるようになりました。長野原から車で30分ほどで軽井沢に到着するという好立地で浅間山の麓に位置する...

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企業や団体が新たに取り組む事業やプロジェクトにクリエイターが参画する際、一体どのような役割が求められているのか。一方的な提案ではなく、事業主とクリエイターが良きパートナーとして傾聴と対話を重ね「共創」を進めていくスタイルが広がっている今。2025年開催の大阪・関西万博でも、デザイン視点で「共創」に取り組み、未来社会の在り方を探る動きが見られるなど、注目度が高まっています。また、AIなどテクノロジーを用いた共創の手段も広がってきました。今回は実際にローンチされた事業やプロジェクトの実例について、提案書類や実現に向けてのプロセスがわかる資料を紐解きながら、これらのポイントを探っていきます。