
化学製品や業務用食品などを扱う素材メーカーのADEKAが、12月28日から1月4日にかけて、約60年ぶりとなるテレビCM「素財姫(縁起物)」篇を放映した。CMでは、「♪ADEKA~地味だと言われたの~/ADEKA~自分でも気にしてる」と、生田絵梨花が歌謡曲風のメロディーで歌い上げていく。カメラが引くと、年末の音楽番組を思わせる全長6メートルの豪華衣装がお目見え。「♪だから少し無理して~派手にしてみたの~」という歌詞とともに、「地味だけど、すごい。」というフレーズで締めくくられる。
同社は直近5年で売上高が約1.5倍となり、コロナ禍でも順調に業績を伸ばしてきた。一方で事業範囲の広さから強みが埋没しがちで、株式市場や採用活動における存在感の薄さに課題があった。2020年にはコーポレートスローガンを制定し広報活動を強化したが、社名の認知度は1割程度で、「旧社名の『旭電化工業』の方が認知度が高い」という状況だった。
「特にコロナ禍以降、顧客への営業手段がデジタル中心に移行し、展示会などのリアルなコミュニケーションの減少から、ステークホルダーとの接点の創出が困難でした。今後、さらなる成長を目指す上で、社名認知の向上が重要であり、今こそマス広告の力が必要だと考えました」と話すのは、法務・広報部の本田しおんさん。投資対効果を重視し、あらゆる層が最もテレビを観ると考えられる年末年始に集中的に出稿した。
制作にあたり複数社から提案を受け、採用したのは電通チームの案だ。「決め手は、テレビCMで社名認知...