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滞在の「体験」価値をどう生み出す? クリエイターの提案

「点」ではなく「面」で奥多摩を魅せる

電車の無人駅がホテルのフロント、宿泊するのはホテル客室に改装した沿線集落の古民家。地域の自然や集落を見て回り、地域住民も接客や運営に関わる──。東京のJR青梅線沿線で一風変わった宿泊体験を提供している、その名も「沿線まるごとホテル」。さとゆめとJR東日本の出資により発足したものだ。2度実施した実証実験で好評を得て、現在は2023年度中の古民家ホテルの開業準備を急ぐ。




2021年2月に白丸駅を起点に実施した第1弾「無人駅からはじまる、源流への旅」の様子。無人駅チェックイン、集落ホッピング、沿線ガストロノミー、古民家ステイなどから成るプラン。旅のしおりや切符を模した宿泊チケットも用意。

複数の地を周遊するしくみ

沿線まるごと株式会社が準備を進める「沿線まるごとホテル」は、JR青梅線沿いの青梅・奥多摩エリアをホテルと見なして地域をまるごと楽しめる体験を提供するプロジェクト。これまで2021年2~4月に白丸駅を起点にした第1弾「無人駅からはじまる、源流への旅」、22年2月に奥多摩駅を起点にした第2弾「奥多摩発 五感をひらく、源流への道」の2度の宿泊を伴う実証実験を行っており、前者は88組、後者は37組が参加。20~70代と幅広い世代に楽しまれており、特に30代の参加者が多かったという。

この事業の原点は、地方創生コンサルティングをメインに行う企業「さとゆめ」が中心となって19年に山梨県小菅村にオープンした「NIPPONIA 小菅 源流の村」にある。「700人の村が一つのホテルに」をコンセプトに、増え続ける空き家問題に悩む小菅村の古民家を順次ホテルに変えていき、分散型ホテルとして再生するプロジェクトだ。

NIPPONIAがオープンした際に、牧秀明さん(現:沿線まるごと ディレクター/当時:JR東日本八王子支社)は視察に行き、ヒントを得た。「青梅線沿いのエリアも小菅村と同様に少子高齢化、観光客の減少に悩んでいます。奥多摩には資源がたくさんありますが、それらは個々が目的地として『点』在していました。そこで村まるごとホテルの考え方を青梅線に当てはめ、“沿線まるごとホテル”としてプロジェクト化することで、点在していたものが『線』や『面』として結びつき、周遊しながらこれまでにない楽しみ方をしていただけるのではないかと可能性を感じたんです」。

そのタイミングで新規事業の創出や社会課題の解決を目指す「JR東日本スタートアッププログラム」で事業アイデアの公募があり、沿線の生産年齢人口減やコロナ禍による地域への送客量減などの課題解決に向け、JR東日本グループとさとゆめとの共同プロジェクトとして応募することになった。

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6月からの訪日外国人観光客の受け入れ再開に始まり、いよいよ旅行や移動需要の拡大が期待されてきた今。新型コロナウイルス感染再拡大への懸念がありながらも、さまざまな施設やイベントが新たな体験を提供しようと動き出しています。では、その担い手であるクリエイターたちは今、人々のどんな行動やインサイトに注目しているのでしょうか。宿泊施設やエンターテインメント施設など、滞在による「体験」の価値を高めるクリエイティブのあり方を探ります。