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クリエイターと未来の顧客を共創 事業開発の進め方

デジタルマーケティング発の缶ワインブランド

サントリーワインインターナショナルは2021年10月から、缶ワインブランド「ONE WINE」を発売。自社ECのほかAmazonや楽天市場で販売し、好評を博している。実はブランドを立ち上げるきっかけとなったのは、サントリーホールディングスデジタルマーケティング部。顧客へのヒアリングを重ねながらR/GAと共にブランドをつくり上げたプロセスを明かす。

「ONE WINE」のメインビジュアル。

「ソーヴィニヨン・ブラン」「シャルドネ」(白)、「ピノ・ノワール」「メルロ」(赤)を4本セット(2200円、税込)で数量限定で販売中。

“ワインの民主化”がキーワードに

プロジェクトの発足は2019年。「当社がこれまで培ってきた、お客さまの心を動かす商品力やCMのようなコミュニケーション力と、デジタルやデータとを掛け合わせて、新しい顧客体験を提供していこう、という動きから始まりました。日本でのマーケットが海外に比べるとまだ小さいワインカテゴリーをテーマとし、新たなワインの在り方とその価値をお客さまに届けるマーケティングモデルを組み立てていきました」と話すのは、デジタルマーケティング部の課長 吉田紗知さん。

当時同社におけるデジタルマーケティングは、バリューチェーンの最下流でコミュニケーション寄りの施策のために活用されるのが主流だった。「でもそれだけだとお客さまに提供できる価値が限られてしまうと感じていました。より上流からデジタルの強みを活用できないかと模索していたんです」(吉田さん)。

プロジェクトの大まかな座組みが決まった初期の段階で、R/GAがジョイン。サントリーと一体となり、どのようなニーズのもと、どんなサービス・プロダクトをつくり、どう打ち出していくべきか、という初期のコンセプトを検討していった。

R/GAのグループアカウントディレクター 工藤成さんは「この新たな取り組みにどう向き合い、答えを見つけていくかというアプローチの提案をさせていただきました。その後、山梨県にあるサントリーのワイナリーに伺ってワインの製造過程やたしなみ方を勉強しながら、広くワインのカルチャーや消費者の関心ごと、チャネルのトレンドなどいくつかのレンズで見つめ、どこにオポチュニティーがあるか議論していきました」と説明する。その中で指針にしたのが「非日常・フォーマル」という印象のワインを「日常・カジュアル」な場面で飲むものにする、という点だった(#01)。

「ワインは普段飲まない人にとっては心理的なハードルが高く、瓶だと飲みきれない、栓をするのが手間がかかるなど、フィジカルなバリアもあります。そういった課題を元に、“ワインの民主化”をキーワードに基本的な戦略を決めていきました」(工藤さん)。

並行して、企画の各フェーズで顧客アンケートやインタビューを実施している。「顧客や市場のデータから読み取れる事実だけでなく、1対1のインタビューなども実施して定性と定量の両面を補い、お客さま一人ひとりを“線”でとらえています。今回もそこから仮説を紡いでユーザーの理解を深めていきました」(吉田さん)。

たとえば「瓶だと飲みきれなくて保管が面倒」という課題もそこからとらえたもの。また市場のデータでは、家飲みでのワインの主な消費者層は50〜70代が一般的だったが、家飲みと外飲みを合わせてより詳しく...

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企業や団体が新たに取り組む事業やプロジェクトにクリエイターが参画する際、一体どのような役割が求められているのか。一方的な提案ではなく、事業主とクリエイターが良きパートナーとして傾聴と対話を重ね「共創」を進めていくスタイルが広がっている今。そのプロセスはやがて、未来の顧客の創造につながっていきます。今回は実際にローンチされた事業やプロジェクトの実例について、提案書類や企画書など実行に向けてのプロセスがわかる資料を紐解きながら、企画実現のポイントを探っていきます。