システムリニューアルに伴いログインIDのパスワードを再設定ください。

システムリニューアルに伴いログインIDのパスワードを再設定ください。

デザインの見方

自分らしさの壁を突破した、善悪が混在した世界観

  • 大塚いちお

The Beatles『Yellow Submarine』(1968, THE NEW AMERICAN LIBRARY)

デザインの専門学校を卒業後、どこにも就職せず、イラストレーターとして活動を始めました。ゼロから仕事を得ていくために必要なのは、自分の存在を知ってもらうための「看板」となる作品です。私は自分らしいタッチや描き方を一生懸命探し、無理やりスタイルをつくり、名刺代わりになる自分なりの看板を掲げていました。その結果、20代中頃には、コンスタントに仕事が来るようになったのですが、今度は自ら掲げたその看板の「自分らしさ」に縛られ、仕事の幅が広がらないという壁にぶつかりました。

自分自身の表現方法はひとつではなく、目的に応じてもっと自由に描きたいのに──。そんな理想がありながらも、うまく表現できずモヤモヤしていた頃。The Beatlesの『Yellow Submarine』のペーパーバック(並製本)に出会いました。

『Yellow Submarine』は、The Beatlesのメンバーが登場するアニメーション映画です。サントラ盤のほか、映画のストーリーとシーンを抜き出した本も出版されています。当時、私は映画も本も見たことがなかったのですが、「大塚の描く世界はほのぼのとした優しい感じだけど、今回つくるものは、『Yellow Submarine』みたいに善悪が混在しながらも、最後はハッピーになる世界観にしたい」といったように、偶然、いくつかの打ち合わせで『Yellow Submarine』が話に挙がることが重なりました。

自分のタッチや表現方法に悩んでいたこともあり、もしかしたら人生のテキストとして...

この記事の続きを読むには定期購読にご登録ください

月額

1,000

円で約

3,000

記事が読み放題!

この記事が含まれる連載

デザインの見方