米国発のマッチングアプリ「Tinder(ティンダー)」が9月から10月にかけて、複数のコピーを主軸とした大型OOHキャンペーンを渋谷周辺エリアで実施した。表現に一定の制約があるジャンルでもあるだけに、利用者の約半数を占めるZ世代(18~25歳)に向け、どのようにメッセージを開発していったのか。

渋谷駅前では3面で展開(9月16日~10月10日)。
「沁みた。」とTikTokerも反応
2012年に米カリフォルニアで生まれ、日本では2015年ごろから普及し始めたマッチングアプリ「Tinder」。2019年から国内で広告展開を始め、3年目となる2021年は9月から10月にかけて渋谷・原宿エリアで初となる大々的なOOHを実施した。スクランブル交差点を臨む渋谷駅前の屋外ボードには3面のグラフィック、渋谷駅地下では8本のコピーが主体の「効き目いろいろ」シリーズ、渋谷・原宿の街中メディアにも水原希子を起用した「すべての出会いが、私をつくる。」がお目見えした。
担当したのはクリエイティブディレクターの石山寛樹さん、コピーライターの片岡良子さんを中心とするチーム。片岡さんは2020年から水原さんを起用した広告を手がけ、今回から石山さんが加わった。
渋谷周辺に集中出稿したのは、このエリアにTinderのアクティブユーザーが多くいるため。一方で媒体側の考査を踏まえると、広く出会いを求めるユーザー向けのサービスでありながら「結婚」「婚活」を意識させる表現を用いる必要があった。このように一定の制約のもと、ターゲットであるZ世代の心をつかむ表現を探っていった。
片岡さんによるとTinderは刺激的で尖ったメッセージを好むブランドでもある。「『どこかにいい人いないかなーって、一生言ってな。』『自然な出会いって、今ムリじゃない?』といった渋谷駅前のコピーは、まさにその王道をいくもの。イメージした人格としては...