清水文太さんが選んだ4冊の本

公開日:2019年10月30日

  • 清水文太

クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、スタイリストやアートディレクターとして多岐にわたり活躍する清水文太さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『雨』

樹村みのり(著)
(朝日ソノラマ)

この本は僕の人生観を変えた本の一つ。沢山の、社会人として生きていくうえでの宿題が溜まっていて、考えることが多く、気を落としていたとある日。余裕がなかったんです。全力ペースで永遠にインターバル走をしているような気分だった。

家に戻り一度休もうと思っていた曇り空の帰り道、最寄り駅で一日限りの量販店で行われていた古本市を見つけた。その中で一つだけ、「今日にぴったりだよ」と棚が語りかけてくれたかのように、「雨」が置いてあった。

内容は、樹村みのりさんの初期短編集。当時の時代・現代でも起こりうるいじめ・あらゆる思想に対する風刺をテーマとして、人間として持っている感情、気持ちのすべてが詰まっている。その中でもコマの中に台詞がない短編があって。お金が無く、風船が買えない女の子の話なのだが、絵のみで感情の揺れ動き、悲しみのすべてを表していた …

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