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「ポスト2020」のアートディレクション

「価値を生み出す力」のあるアートディレクターへ

  • 大黒大悟

日本デザインセンターで活躍をしていた大黒大悟さんは、昨年7月に渡米。アートディレクターとして新たなスタートを切りました。40代目前に、大黒さんがなぜ新しい道を切り拓こうと考えたのか。御自身に書いていただきました。

The Art of Bloom(TAoB)

世界の動きを自分の目で見る

僕はいまLAに拠点を移し仕事をしています。グラフィックデザイナー、アートディレクターとして東京で14年間仕事をしてきましたが、日本での活動に一度区切りをつけ、去年の7月に家族を連れて渡米しました。40代目前にしての決断、住み慣れた場所を離れ、当然仕事や生活は大きく変化しました。

2003年に日本デザインセンターに入社し、2011年に大黒デザイン研究室を設立、グラフィックデザインを基軸に活動をしてきました。これまでクライアントやスタッフに恵まれ、さまざまな領域でデザインの仕事をしてきました。手応えを感じながらも、アートディレクターとして多岐に渡るコミュニケーションが求められ、多様なメディアから最適なものを選び、全体をディレクションしていくことの必要性を強く抱きながら仕事していく中、次なる目標を考えたときに、世界のマーケットを当然のように視野に入れて活動できる、知識と経験と感覚が必要だと感じたのです。

日本の文化もデザインも素晴らしいことは実感しています。その一方で、地域や行政、公共施設と仕事をする機会が多く、改めて日本の魅力は何かという問題と向き合う中、「外から日本を見てみたい」という純粋な気持ちがとても強くなりました。

これまでにもさまざまな国の人々と交流し、多様な価値観に触れてきた中で、仕事の仕方もコミュニケーションの取り方も、テクノロジーの使い方も違うことに直面し、いま僕の知っている情報は非常に限定的かもしれない。もっと成長したい、もっとさまざまな価値観の中で自分の力を試してみたい。世界の動きをこの目で見て、経験を積むことは僕のこの先の人生の中でとても重要で、いま行動しておくべきだと考えるに至ったのです。

アメリカは多様性の国です。国籍も人種も性別も様々な人がいて、皆それぞれのバックグランドを持っています。多様性を認め合い、個人の考え方を尊重してくれるのがこの国の在り方。仕事をしていく中で、日本のように全員がある一定の価値観を身につけていて暗黙の了解で物事を察してくれるような感触はありません。ひとつひとつ明確に具体的に指示しなければ驚くような方向に進んでしまうことも度々あります。

また、アメリカは分業の国でもあり、僕がアートディレクターとして仕事をする以上、自分の領分以外のことはやりませんし、それぞれの責任がとてもシビアです。自分がアートディレクターであるという認識はこちらにきてより強まった感覚があります …

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この記事が含まれる特集

「ポスト2020」のアートディレクション

2000年代前半、広告界では佐藤可士和さんを筆頭にアートディレクターの仕事が広く世の中から注目されるようになりました。新聞広告やポスターを作ることのみならず、OOHでのダイナミックな展開やグッズ・商品開発、さらにはブランドや企業のCIなどまでを手がけ、アートディレクションの可能性とアートディレクターの関わる領域が大きく広がっていきました。

さて、そこから20年近くを経た現在、広告のメディアは大きく変わっています。ポスターからサイネージへ、そしてWeb、さらにはスマートフォンで見るSNSでの広告や動画、プロダクトなど、アートディレクションの表現領域がさらなる広がりを見せています。向き合わなくてはいけない領域やメディアが増える中で、今アートディレクターたちはどんな考えで、自身のアートディレクションを確立しようとしているのか。本特集では、30~40代のアートディレクター9人に、今、そしてこれからの「アートディレクション」について聞きました。