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地元の魅力は自分たちの手でつくる クリエイターと地域の新しい関係

1つのビルが周辺をじわじわと変えていく

山形市内にカルチャーの発信拠点として、2016年に登場した「とんがりビル」。手がけたのはアカオニの小板橋基希さんをはじめとする、まちづくり会社マルアールだ。街中にこのビルができることで、周辺エリア自体を変えていくことを意図したという。

山形市 七日町にある「とんがりビル」。築40年の雑居ビルをリノベーションした。

カルチャーを発信する「とんがりビル」

JR山形駅からバスで約10分、山形市の中心地・七日町の一角に「とんがりビル」はある。4階建ての雑居ビルで、1階には山形の食材を楽しめる食堂「nitaki」やギャラリースペース「KUGURU」、山伏の坂本大三郎さんが運営する本屋&雑貨店「十三時」が並び、2階にはデザイン会社「アカオニ」のオフィスと写真家のスタジオ、3階にはシェアオフィス、4階には家具屋「ティンバーコート」が入っている。

とんがりビルを運営するまちづくり会社「マルアール」は、とんがりビルを作るために立ち上げられた会社だ。メンバーは、山形R不動産の水戸靖宏さん、建築設計事務所「みかんぐみ」の竹内昌義さん、建築設計事務所「OpenA」と東京R不動産の馬場正尊さん、ティンバーコートの相田広源さん、そしてアカオニの小板橋基希さんの5人。小板橋さんはマルアール設立の背景について、次のように話す。

「水戸と竹内と馬場の3人は、以前から山形の市街地活性化の取り組みでつながりがありました。僕と彼らの出会いのきっかけは、馬場が市街地再開発のワークショップとして行っていたリノベーションスクール『リノベリング』が山形に来たことです。参加者による起業を目的にした場なのですが、翌年度は予算がつかなかった。ならば自分たちの手でリノベーションをして、山形にカルチャーを発信するビルを作ろうという計画が持ちあがり、地元から民間も入れたほうが面白いと、僕と相田にも声が掛かったというわけです」。

この頃、マルアールはフリーアドレスのシェアオフィスを作ることをイメージしていた。「でも、それだと面白くないなと。そもそも山形は賃料が安いので、ビジネスとしても見合いません。そこで面白いことを自発的に発信できるスペースにしようということになって、建物を山形市内で探しはじめたんです」。

そこで出会ったのが、以前はリサイクルショップの倉庫やスナックが入っていた今のとんがりビルだ。「このビルを見つけたのは全くの偶然でした。立地もいいし、屋上に5人で上がってみたら景色もとてもよかったので、ここにしようと決めました」。

現在、小板橋さんのアカオニはとんがりビルに入っているが、当初は入居する予定がなかったという。「僕らは市内の西蔵王高原に1坪1万円/1400坪の土地を見つけていて、そこにコンテナとウッドデッキを置いて、悠々自適にデザインをやろうと話していたんです。でも、ビルが決まり、とんがりビルの構想を練る中で、ギャラリーや食堂を入れるという話になり、僕らも隠居じみた場所につくるよりも、ゴチャゴチャした街場に入っていったほうが面白そうだと、入居することにしました」 …

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