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PR発想で進化する広告クリエイティブ

定番CMをネタにファンと掛け合うWebムービー

「ファイトー!」と聞けば「イッパーツ!」と思わず答えたくなってしまう、リポビタンDのおなじみのCM。だが、2年半ぶりに大正製薬が公開したシリーズCMは、「ファイトー!」の掛け声を無視する「ファイト不発」CMだった。

リポビタンD「ファイト不発!?ケイン・コスギ×大場美和」WebCM

「ファイト一発」をリメイクし「ファイト不発」CMに

崖から落ちそうになった仲間に「ファイトー!」と声をかけて手を伸ばし、相手が「イッパーツ!」と返してピンチを脱する──。リポビタンDのCMと言えば、屈強な男たちの登場する熱いCMを思い起こす人が多いだろう。このシリーズが始まったのは1977年で、それ以降、宍戸開、ケイン・コスギ、滝川英治など世代交代しながら放映が続けられてきた。

この「危機一髪(一発)」CMが2年半ぶりにリメイクされ、Web限定CMとして公開された。しかも、今回は「ファイト一発」ならぬ、「ファイト不発」CMだ。登場するのは、ファイト一発CMの"顔"であるケイン・コスギと、19歳のプロクライマー、大場美和。ボルダリングに挑戦中、足を踏み外した大場にケインが「ファイトー!」といつものように声を掛けるが、大場はその呼びかけをスルーして平然と登っていってしまう。茫然とするケインを最後に再びカメラが捉えると、振り向きざまに「ジェネレーションギャップ!」と流暢な発音でオチをつける内容になっている。

このCM制作の背景にあったのは、危機的状況でもがむしゃらに頑張る危機一髪CMのマインドが今の時代に合わなくなっているという同社の危機感だ。さらに新たなエナジードリンクが次々と登場して若年層に人気となり、リポビタンDを取り巻く市場環境は厳しさを増していた。

ブランドイメージ刷新の必要性から、同社では三浦知良選手や大谷翔平選手が登場する「Have a Dream」がテーマの新CMシリーズを、昨年から放映してきた。しかし危機一髪CMのイメージも依然強く残り続けている…そんな状況の中で、若年層に向けたリポビタンDの話題化施策として、今回のWebCMは作られた。ケインと大場はテレビCMと共通のキャスティングだ。

昨今、企業の広告は炎上しやすくなっている。そこに「往年の表現が時代錯誤とも思われかねなくなっている」という自社の文脈をあえてぶつけ、「世の中の意見を受け、企業から先手を打って定番CMをリメイクする」という、これまでの炎上CMとは逆の流れを生み出した。炎上する広告が増えているといってもその一方で、クレームを気にして表現が窮屈になることを嫌だと感じる人たちもいる。そうした人が、笑いながらすっきりできる企画になっている ...

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PR発想で進化する広告クリエイティブ

広告で人が動きづらくなっている世の中で、社会的文脈に沿った情報発信とクリエイティブやアイデアの力をかけ合わせ、ブランドに対する関心や好意度を高めていく「クリエイティブPR」に注目が集まっている。広告を打っただけでSNSで話題にするのは難しく、たとえ話題になり拡散されたとしても、炎上のような形で悪いレピュテーションが広がっては逆効果。生活者からどれだけ共感と好意的な反応を狙って引き出せるか、広告表現はもとより、その先の反応や評判まで設計することが求められるようになっている。そのためには、生活者が深く共感する文脈と人にシェアしたくなる魅力的な表現の双方を掛け合わせる必要がある。今回の特集では、クリエイティブPRにいち早く取り組んで成功した事例を中心に、これからの広告クリエイティブに欠かせない“PR視点の発想”を解き明かしていく。