異業種に学ぶ  ヒットコンテンツを生むプロセス

公開日:2014年2月18日

2014年はどんなヒットコンテンツが登場し、世の中に話題を提供するだろうか。広告コミュニケーションの世界では、企業がオウンドメディアを使ってコンテンツ発信をしていくトレンドが続き、ブランド協賛型のコンテンツ「ブランデッドコンテンツ」にさらに注目が集まりそうだ。コンテンツ制作では、従来の広告作りと違うどんな発想が求められるのか。

そこで、今月の青山デザイン会議は、異業種のヒットコンテンツの作り手たちにその発想法を聞く。時代の空気をいかに的確にとらえ、新鮮な切り口を提示し、受け手のポジティブな反応を引き出していくか。コンテンツの設計、ネーミング、細部の演出、そしてプロモーションの過程にどんな工夫があったのか。ヒットコンテンツの送り手のアイデア発想法は、これからの広告制作者にとってもヒントに満ちたものであるはずだ。

ベストセラー書籍『伝え方が9割』の著者でコピーライターの佐々木圭一さん、「サラリーマンNEO」の生みの親で、大ヒット「あまちゃん」の演出も手がけたNHKエンタープライズの吉田照幸さん、「ガールフレンド(仮)」などのヒットタイトルでゲーム界に新風を吹き込むサイバーエージェントの大辻純平さんの3名にお話しいただく。

ヒットコンテンツ誕生の舞台裏

佐々木▶『伝え方が9割』がここまで売れるとは、正直思っていませんでした。広告の仕事を通じて得た「伝える」ための技術を一般の方向けに体系化したもので、それまで大学で10年教えたり、人からうかがってきた内容を一冊の本にしています。大学では当初広告についての授業をしていましたが、授業中に全然面白くないプレゼンをしていた学生が、打ち上げでしゃべってみると、断然面白い。「オマエ、それを授業中に言えよ!」と思ったことが何度もあって。これは広告の作り方より伝え方を教えるべきだな、と途中から授業の内容を変えました。これまで約5000人の学生が授業を受け、そのフィードバックによって内容が進化し、磨かれていったことも大きかったのだと思います。

吉田▶「9割」というタイトルが秀逸ですよね。僕は日常的に書店をめぐるんですが、出たときにすぐ目が行ったのを覚えています。僕はNHKに入社して番組企画部に配属されてから30代に入るまで、ほとんど企画が通らなかったんです。向いてないから辞めようかと悩んでいたあるとき、ふと居酒屋で、異業種の友人に初めて聞いてみたんですよ。「どんな番組が見たい?」って。返ってきた返事は「民放で深夜やっているようなコントを、NHKで見てみたい」。彼のその言葉が元になって生まれたのが『サラリーマンNEO』です。その次の企画会議のときに、自分としては渾身の出来の家族モノの企画と、ただ「コントをする」と書かれた企画の2つを出したんです。そうしたら、家族モノの方は見向きもされず、半信半疑だったコントの方は「コントはいいねえ!」という具合で、皆がその場でどんどんアイデアを出しはじめた。企画に対しては、そのときに考え方が変わったと思います。自分が聞いて面白いと思った"誰かの言葉"を、企画にするようになりました。その頃からやっとうまく回りだした感があります。

この記事の続きを読むには定期購読にご登録ください

月額

1,000

円で約

3,000

記事が読み放題!