嘘のような。
亭主元気で留守がいい~
大日本除虫菊/1986年
○C/石井達矢
なんにもしないをするの。
西武百貨店/1990年
○C/古居利康
愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。
九州旅客鉄道/1992年
○C/仲畑貴志
嘘のような、ほんとの話をします。
タンスにゴン タンスにゴン 亭主元気で留守がいい〜
このコピーが流行った頃、僕はまだ大学生でした。空き時間によく行っていた大学の図書館で、ある時、CMとか、宣伝とか書いてある本が並んでいるコーナーを見つけました。そこで興味を持ったのが、コピー年鑑でした。テレビや街で見た広告が、図鑑のように載っていました。タンスにゴンは、その年のクラブ賞の広告でした。
コピー年鑑の横には、宣伝会議という雑誌がありました。そこで知ったのがコピーライター養成講座でした。何よりも魅力だったのは、コピー年鑑に出ているコピーライターの人たちが講師で来られるということ。バイト代で貯めたお金をはたいて通いはじめました。ゴンのコピーを書いた人も講師で来ていて、コピーを添削してもらいました。結果は「うーんもうちょっとやな」みたいな感じで残念だったのですが、見てもらえたことにドキドキしてたのを覚えています。
やがて就職。広告会社はひとつも受からず、印刷会社から内定をもらいました。配属は営業でした。1年くらいたった頃、ある人から電話がかかって来ました。ゴンを書いたのとは別の人ですが、宣伝会議の講師の方でした。「君のコピー面白いからコピーライターならへんか」。オレオレ詐欺みたいな電話ですが、まだ純粋だった僕は、その言葉を真に受け、プロダクションのコピーライターになったのです。