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名作コピーの時間

[PR] 「おいしい生活。」「プール 冷えてます」「四十才は二度目のハタチ。」

言葉って、面白いなぁ。

    おいしい生活。

    西武百貨店/1982年
    ○C/糸井重里

    プール 冷えてます

    豊島園/1986年
    ○C/岡田直也

    四十才は
    二度目のハタチ。

    伊勢丹/1992年
    ○C/眞木準

大学時代には、軽音楽のクラブに入っていた。ギターを手にしていた私には、挫折しか記憶がない。とにかく、才能豊かな先輩ばかりだった。自信を失いかけていたとき、大好きな先輩から、作詞を依頼された。たまたま書き溜めていた詞に興味をもってもらえたのだ。それが、言葉を作る人生のはじまり。そんな時代に目にしたのが、糸井重里さんのコピー、西武百貨店の「おいしい生活。」だった。

「おいしい」と「生活」。なんでもない言葉の組み合わせが、新しい世界を感じさせてくれた。作詞をする際に「言葉の組み合わせ」を楽しんだものだ。ちなみにこの時代の音楽仲間である高原兄(元アラジン)が作った言葉は「完全無欠のロックンローラー」。音楽コンテストで負けたことよりも、言葉で負けた気がする。その後、コピーライターという名刺を持つことにも慣れてきた頃に出会ったのが、岡田直也さんのコピー、豊島園「プール 冷えてます」だった。

これまた「プール」と「冷えてます」。言葉の組み合わせが普通じゃなかった。このコピー以外にも豊島園のコピーには、言葉で気持ちを揺さぶるチカラがあった。その後、岡田直也さんとは親しくさせていただいているが、いつも、強い言葉を作ろうとする姿勢は勉強になる。そして、クリエイティブディレクターという名刺を手にした頃に出会ったのが、眞木準さんのコピー、伊勢丹「四十才は二度目のハタチ。」だった。

年を重ねることで、寂しさを感じ始めた女性に勇気をプレゼントした言葉だと思う。このコピーには、言葉の組み合わせとは違う、魅力がある。それは、発見と提案だ。眞木準さんとは、その後、お会いすることがあった。「コピーは、ポスターのための一行じゃない。言葉で、世の中や、会社や、人の心を動かすものなんだ」ということを教えていただいた。

実は、この言葉こそが、私の今を支えている。コミュニケーションワード、コンセプトワード、スローガン...。いろいろな言葉があるけれど、言葉ひとつで、何かが大きく動きはじめる。そんな、言葉作りに、面白さを感じている。こうして考えてくると、好きなコピーを生み出したコピーライターには、出会うことができたけど、糸井重里さんにはまだお会いできていない。今後の目標としよう。

いわた・しょういち
新東通信 クリエイティブ・ビジネス担当、クリエイティブディレクター。最近、サンリオとのコラボでHello Kitty Mariscalの開発、Gaudi Code『ドラゴンの瞳』のプロデュースなど、思いつくままにマルチクリエイティブを楽しんでいます。

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