エクセルで「ここまでできるのか!」を知り、自社に適した分析手法を、状況に応じて使い分けるスキルを伝授していきます。
今、かつてない程求められているのは「自部署」で得られるデータを使って「分析」できる力
ビジネスマンにとって、データと向き合うことのない日はありません。もっとも身近な売上データをはじめ、WEBサイトの訪問者数、資料請求数や来店者数、購入者数に地域や年齢、そして季節など日々多くの情報に囲まれビジネスを行っています。そして、その数や項目は増える一方です。
しかし、データの重要性は分かっているものの、違和感を感じながら仕事をしている人は多いのではないでしょうか?全くデータに基づかない「勘と経験」による表層的な議論で進む会議、他部署や外部から上がってくる「現象の一部しか説明できていないデータ」が、あたかも正しいことのように思われ、ミスリードされている状況など、悩ましい日々が続きます。
一方で、その状況に対して「データの分析が上手くできない」からそれを正すことや、新しい視座を見つけることができず、結局、昨年と同じ活動に終始してしまうこともあります。そこで、この状況を打開し、企業がマーケティング活動を実現していくためには「地に足のついた」分析を自部署で行えるキーパーソンを時間をかけずに育成していけるか否かが重要になってきます。しかし「専門のツールがない」「育成できる人がいない」などの理由で進めることが難しい現実もあります。
そこで宣伝会議では、最も身近な分析ツールであるエクセルを用いた「マーケティング分析講座」を開催します。
データの本質の理解
実務担当者の多くは、売上金額、件数、単価の推移、訪問者数や成約率、Webではクリック率、さらにはブランド 認知など多くの指標に囲まれ、改善の糸口を見つけられず「指標の波」に翻弄されています。このような中、いきなり解決の糸口発見のために「データにあたる」では、さらに混迷の度合いを高めてしまいます。そもそも、分析の本質は、「結果」の改善に繋がる「行動」を特定することにあります。そのためには、その行動と結果に因果関係がなければなりません。しかし、現場では「ECからの売上が下がっているから、ECからの申込を増やすために割引クーポンを発行しよう」など、課題と現象を混同した施策が展開されています。そこで本講座では、改善に繋がるPDCAを回すための因果関係の理解から始めます(図は小川氏の講義資料より)
データはそもそも1種類ではない
データを元に改善していくためには、そもそもデータの種類とそのデータを使ってできることと、できないこと、やってはならないことの理解が必須となります。なぜなら、データは基本的には数字であるため一見、すべてのデータがそのまま使えるように思えてしまいます。しかし、数字であってもその性質は異なります。違うもの同士を分析したところで、正確な答えには辿り着けません。そこで、本格的な分析に移る前に「データの種類」を理解することは分析を理解する上で重要です。(図は小川氏の講義資料より)
分析の要諦は要因の区分けにあり
ビジネスの現場では「売上」と一口に言ってもその売上が膨大な要素の集積と理解しているビジネスパーソンは案外少ないものです。さらに、その要素の種類と位置関係を理解し分析を行うためには、しっかりとした訓練が必要となります。そして重要なのは、今自分が見つめている数字が一体「どこの分野の数字であるのか」を知ることです。売上に影響を及ぼしている要素は、内部要因なのか、外部要因なのか、この違いを理解せずに、目先の売上の確保のために突発的な割引をするようなことは避けるべきです。売上を形成する要素の特定と、それの流れをストーリーで理解できることが分析担当には求められます。そこで本講座では数々のケースから、どの数字から何が言えるのか、これがどのようにして売上に影響を与えているのか実際の作業を通して理解します。(図は小川氏の講義資料より)
状況に応じて使い分ける視覚化の技術
データ分析において“視覚化”は大きな武器となります。膨大なグラフ化など視覚化する手法を通して、作り手の狙いを上司や同僚、部下、他部署へとと正確に伝えることができ、課題感を共有することができます。使うべき視覚化の手法には、その伝えたい情報と手持ちのデータによって変わります。とりあえずグラフを作って「それっぽいもの」で終わらせることなく、時々の状況に応じてグラフを使い分け、決裁者に「シンプルで要点がしっかりまとまっている」と理解させ、行動を促すために、視覚化の技術を習得します。
勘の意思決定を終わらせる「統計」
ビジネスの現場でも、統計の知識を武器にできれば、従来の「勘」や「イメージ」に頼った意思決定を大きく変えることができます。既に、統計は経済学や社会学など多くの分野で活用されていますが、統計と聞くと非常に難しいイメージもあります。しかし、本講義では学問を学ぶのではなく、あくまで主眼は「ビジネスの現場」で使える統計手法を「エクセル」で使えるようにすることにあります。その結果、「気温と売上の関係ってあるの?」「駅からの距離で本当に売上って変わるの?」「価格を下げたら本当に商品が売れるようになるの?」「広告出稿量を増やすとどの程度売上が上がるのか?」など、「勘や経験」でなされていた判断に数字的根拠を付与でき、本当にやるべきことと、本来やるべきではないことを「見極める軸」を作ることができるのです。
エクセル統計でできること:広告と売上の予測
「回帰分析」とは統計手法の中でもメジャーな方法です。2つの変数から法則性を見出し、そして将来の予測に使用することもできます。「広告と売上の関係」を導き出すこともできれば、「気温の変化の商品売上数の関係」など、様々な分野で応用できる手法です。
エクセル統計でできること:効果の予測から最適な予算配分をシミュレーション
講義では、架空の企業を用いた演習も行います。例えば、ダイレクトレスポンス型広告の手法をクロスチャネルで効果把握を行う視点について解説します。オフラインとオンラインの双方への申込数を予測するモデルを作り、利益を最大化するためのマーケティング施策予算配分のシミュレーションを行います。
日程 | 講義内容 |
12/20 |
「分析できる力はなぜ必要か? ・デジタルマーケティング時代に求められるマーケターの分析スキルとは? |
1/10 |
顧客の状態を把握する ・デシル分析 ・RFM分析 ・ピボットテーブルの活用など |
1/17 |
消費者ニーズを把握する(基礎) ・アンケート解析 ・テキストマイニングなど |
1/24 |
統計によって効果を把握する(基礎) ・データの分布などの事前確認 ・相関係数 ・回帰分析など |
1/31 |
統計によって効果を把握する(応用) ・回帰分析における留意事項 ・疑似相関や交絡の考慮など |
2/7 |
消費者ニーズを把握する(応用) ・ロジスティック回帰分析 ・層別分析など |
2/14 |
身近なビッグデータを活用 ・グーグルトレンドやツイートの活用など(一部ワークショップ含む) |
2/28 |
消費者行動の法則を活用 ・数理確率モデルを用いた需要予測など |
小川 貴史氏
株式会社カーツメディアワークス
執行役員 兼 デジタルマーケティング事業部長 シニアコンサルタント
<小川講師から参加される方へのメッセージ>
今、多くのマーケターが「データの海でおぼれている」ように見えます。
上司や部門の責任者からは、データドリブンマーケティングの推進という号令の下、「消費者や顧客のデータを貯め、その行動を可視化し、顧客の状況に応じて自動的にアクションできるにように!」などの指示を受け、困惑されている方も多いのではないでしょうか。
さらに、これを実現するためには、今使っているツールをどう使うか、どうデータを見るべきかまでを考えされられ、より一層、出口のない解を模索されている方は多いのではないでしょうか。
このような課題の根底にあるのは、マーケティングのツールなど「HOWに対する過度なリソース投資」が先行し、「基本リテラシー」がないまま、プロジェクトに任命されることに起因します。
そこで、本講座はそういった方々の課題を解決するために実施します。
●戦略を描くための「データドリブン」へ
データを活用したプロジェクトの難易度は高度化していますが、そもそも難易度の高い分析が大きなビジネス上のインパクトを生むとは限りません。逆に、マーケターでも行える手つかずの分析プロジェクトの中に、インパクトが大きい「宝」が潜んでいる可能性もあります。
そこで講座を通じたテーマは、戦略を描くための「データドリブン」としています。
エクセルを使った演習を行いながら、実際のビジネスの現場で使える統計の「基礎リテラシー」を養います。
さらに、皆さんのビジネススキルを上昇させるべく、講義終盤では「確率思考の戦略論」で紹介された需要予測法も行います。
最終的には線形回帰などによる「モデリング」とは何か?因果関係を考察するために注意すべきことまでを知り、戦略を描くための「データドリブン」なリテラシーを養います。
エクセルという身近なツールを通じて、基礎から学び、そしてビジネスで結果を出すための様々な方法論で、真のデータドリブンマーケティングを「あなた」が体現できるにようになりましょう!