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書籍『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』書籍『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』

【はじめに全文公開】君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間(音部大輔)

2017年に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』を上梓し、多くの方々に読んでいただくと同時に、たくさんのフィードバックをもらってきました。「戦略の考え方がようやく実感できた」「戦略の定義に納得し、戦略の概念が分かった」といったコメントに加えて、「皆にも読むように薦めているのだけれど、全員が読み切れるわけではない」「論証は少なくていいから、もう少し簡単に概観できないか」「実際どのような手続きを経てつくるのか、立案の手引きが欲しい」といったご意見もいただきました。論証に文字量を割いたことで深く理解しやすい半面、簡潔さを失いました。戦略の説明に終始し、戦略立案の手順などが十分でなかった点も反省すべきところです。

同時に、書籍をきっかけに、公開のカンファレンスから企業の組織強化、戦略構築の支援、あるいはMBA(経営学修士)の授業など、短いものは1時間、長いものはワークショップを交えて8時間、いろいろな場で戦略のお話をする機会も増えました。中でも、最も頻繁に実施しているのが、4時間の講義と4時間のワークショップを組み合わせた「戦略講座」です。参加者はビジネスで戦略の立案や提案に関わってきた方たちですが、「戦略という考え方を初めて理解し、体感できた」「短時間で概観できただけでなく、つくり方の手順もよく分かった」という声をいただきます。

そこで、この「戦略講座」から4時間の講義部分を書き起こし、書籍化したのが本書です。4時間の講義の情報量は約7万字にまとまりました。平均的な読書速度を400〜600字/分と想定すれば120〜180分で読み切れます。東京〜新大阪間の新幹線の片道を目安としました。挿話などは文字フォントを変えています。要点に集中する時には読み飛ばしても大丈夫です。

初めて戦略に関わる読者にも親しみやすいよう論証は少なくし、第1章で定義、第2章でつくり方を説明しています。この2章を読めば、最短時間で戦略の概要を理解し、戦略を議論する準備が整うと思います。第3章では、注意すべき6つのポイントを示しています。具体的な立案作業に入る際には、一読をオススメします。

もととなった講義は、P&Gのマーケティング部門の若いマーケターたちに共有してきた内容をもとに、欧州や国内のメーカーで展開したコンテンツが原型です。コンサルタントとして独立後には、家電、製薬、広告、放送局、電力、教育、ウェブサービス、エンターテインメント/IP、化粧品、日用品、食品、アルコール飲料、非アルコール飲料、D2C、BtoBサービスなど、多様な領域で適用してきました。業界や企業規模、組織体制への依存が少なく、汎用性が高いので、広く使いやすいと思います。ビジネスだけでなく、戦略系のゲームなどへの応用もオススメです。

戦略はそもそも軍事活動から発展した考え方ですが、「目的達成のための資源利用の指針である」と捉えることで、さまざまな領域・レベルで威力を発揮します。戦略コンサルタントや、大手企業の経営者だけのものではなく、有限の資源で目的を達成しようとする多くの方々の役に立つべきものです。

中でも、一定規模の資源の運用を任され、成果を期待されているブランドマネジャーやプロジェクトマネジャー、それらを目指す若きプロフェッショナル、あるいは彼らをたばねる事業部の部門長などのリーダーには、必須のスキルです。

あいにく、学校や企業で戦略の本質や具体的な考え方が教授される機会は多くありません。本書が多くのプロフェッショナルや学生の皆さんにとって、戦略の入り口の役割を果たし、目的達成のお役に立つことができれば、これに勝る喜びはありません。