2025年6月9日、総務省は国内で初めてとなる「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」を公表した。本ガイダンスは、広告主がデジタル広告のリスクを正しく理解し、主体的に対策を進めるための指針となるものだ。策定の背景や目的、そして広告主が取るべき対応策について、総務省情報流通行政局情報流通振興課企画官の吉田弘毅氏に話を聞いた。
デジタル経済を支える広告活動 CSR意識と責任ある行動を
―ガイダンスの策定に先駆け、2024年度から「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会デジタル広告ワーキンググループ」が開催されています。ここで抽出された、広告主が理解すべき主な課題についてお聞かせください。
偽情報・誤情報の拡散や誹謗中傷など、デジタル空間におけるさまざまな課題に対応するため、まず2023年11月から「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」が開催されました。
関係者・団体からヒアリングを行い、取りまとめたものを2024年9月に公表しました。そこでは、情報空間の健全化に向けた総合的な対策として6つの柱が示されました。その柱のひとつに「制度的な対応」、つまりルール整備の必要性が挙げられています。具体的には「情報伝送プラットフォーム事業者による偽・誤情報への対応」のほか、「広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保」も重要だと指摘されました。これは、偽情報・誤情報が拡散される背景のひとつには、広告収入という金銭的動機があるという認識に基づくものです。つまり、広告の品質問題についても取り組むべき課題として明らかにされたという形です。
そこで、検討会終了後に開催された「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」には、「制度ワー...