フジテレビ第三者委員会報告書は業界全体に突きつけられたナイフである

公開日:2025年4月28日

  • 境 治氏(コピーライター/メディアコンサルタント)

フジテレビの第三者委員会報告書が明らかにした「ハラスメントの蔓延」。経営刷新の裏にある責任の所在、広告主の信頼離れ、そして「業界」という言葉の内側に潜む構造的課題とは何か。一連の問題から見えてきた企業とメディアの在り方について、メディアコンサルタントの境治氏が解説する。

経営刷新への評価から一転 報告書により再び水面下に

1月の「紙芝居会見」で始まったフジテレビのCM減少。2カ月を過ぎても事態は収拾せず、一時期はACジャパンだらけだった広告枠が、最近は自社の番組や映画の宣伝で埋め尽くされています。

そんな中、3月27日に経営刷新が発表され、旧取締役陣は金光修氏と清水賢治氏以外全員退任。何かと噂に上る日枝久氏も取締役相談役を退任しています。この経営体制の変更は、わかったようでよくわかりませんでした。誰かが何かの責任を取っての退任なのか、何なのか。経営刷新は私も必要だと思ってはいましたが、趣旨が曖昧に思えました。退任した人びと、中でも日枝氏が「かくかくしかじかの理由で退任します」と世の中にアナウンスする必要があったと思います。

そして3月31日には第三者委員会の報告書が公開されました。私は正直、この調査結果は儀式的なものだろうと捉えていました。調査着手がアナウンスされた時には、中居正広氏による女性への性被害が...

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