3月21日、贈賞式の直前に行われた最終審査会では、約2時間にわたって投票と議論が重ねられました。二次審査から四次審査、そして最終審査まで作品を見つめた15名が、今年の審査を振り返ります。
審査員長

トマト
仲畑貴志
今回は、非常に良くできた表現が多数集まりました。それも、商品特性に則った、手堅い表現が多かったように思います。でも、宣伝会議賞は、試作コンペという、せっかく制約の少ない場ですから、もっとヤンチャな表現、笑える表現、胸が絞めつけられるような、傍若無人な表現がないともったいない。もちろん、もしわたしが宣伝会議賞に参加するとしたら、やはり過去の受賞作をチェックして、審査員の選択傾向を研究してこさえると思います。ようするにストライクゾーンにボールを置きに行こうとする。ところが、爆発するような表現は、置きに行く言葉(発想)からは生まれない。だから、いちどストライクゾーンを頭に入れたあとは、もう傾向などは忘れましょう。ストライクゾーンから少々外れてもいい。少し暴投気味でも、一度見ると忘れることの方が困難となるような表現で、グランプリをつかみ取ってください。

電通
石田文子
SNSで言葉の暴力が至る所で振るわれ、それに疲弊している中での審査だったこともあり、眼差しがあたたかだったり、問題提起でもチャーミングな言い回しに昇華しているコピーに強く惹かれました。棺やピルに良いコピーが多かったことも今の時代を表していたように思います。これだけ言葉が溢れた時代でも、ハッとさせてくれる新しい発想や切り口はちゃんとあるのだと、勇気をもらい、鼓舞されたように思います。「自分もがんばってコピーを書いていこう」と思わせてもらいました。ありがとうございました!

一倉広告制作所
一倉宏
グランプリは、例えて言うなら「着地の姿勢が見事に決まって」高得点でしょう。ナンセンスなコントで笑わせながら、そのオチでクライアントの望むお題にしっかり答えています。コピーゴールドは、見たことのない「新技」への評価でしょうか。「おうち焼肉」のステージで「高級店」みたいなことばのユニークさ。ビデオ&オーディオゴールドは「余白を読ませるアイデア」のシャープさで、見事にゴールドメダルを獲得しています。さて、眞木準賞は、審査員を悩ませながらも過半数を得て決定しましたが、ことばの表現として、その「瞬発力」を評価されたものでしょう。シルバーにも銀メダリストの価値があります。みんな素晴らしい。なかでも、SQUIZの、その口語スタイル、体言止めの破壊力に驚きました。メッセージにもよく親和しています。対照的にパナソニックのコピーなどは、地味ではありますが確実な説得力があり、こういう作品も高く評価すべきだと考えています。

サン・アド
岩崎亜矢
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