なにが購買を後押しする?偶発的消費も読みとく
連載3回目では、人によって異なる「元の生活」を理解するためにTEM(Trajectory Equifinality Modeling;複線径路等至性モデリング)が有効だということを紹介した。
TEMについては2回目でも扱ったが、今回は、CXやサプライプッシュを推進するための新しい方法としてのTEMという観点から解説をしてみたい。
TEMは時間ともうひとつの次元(「実現したこと」と「実現しなかったこと」)でプロセスを記述する。また実現したこと、の先にある「願い」も理解しようとする。
商品やサービスを提供する側は、とりあえず売ればいい=買ってもらえればいい、と考えるかもしれないが、買う側は、つねにその商品やサービスの購買後のことを考えている。連載1回目に、文脈によってBに見えたり13に見えたりする文脈効果をとりあげたが、何かを購入するということについても過去との連続性だけではなく、未来の願いという文脈の中に位置づけることで、よりよく理解できるようになる。
過去の経緯と未来の願いがあってこそ、現在の行動の意味がわかる。これがTEMの考えの根幹にある。
過去と未来がせめぎあう現在を...