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北欧デンマーク テーブルとベンチから生まれる「対話と自立」

公開日:2019年10月24日

  • 渡辺 真佐子氏(資生堂)

クリエイターの視点から、サスティナブルとダイバーシティの共存を実現するデザインのヒントを北欧デンマークから全6回の連載でお届けします。

至るところに置かれたテーブルとベンチ、そして焚き火スペース。校舎のつくりも型にはまらない。

みんなが違って当たり前 多様性に寛大な国民性

デンマークの人たちは実によく話をします。目が合えば会話が始まり、そこへ別の人が加わり、さらに人が入れ替わり…と延々と会話が続いていくのです。それはごく自然な光景で、たとえ初対面同士であっても、以前から知り合いだったかのように話をします。そして彼らはその会話の中で自分の考えや意見を、躊躇なく語ります。大袈裟なようですが、そこには明らかに日本人とは違う感覚があるように思います。

他者に対してオープンで、かつ自分自身の意見も躊躇なく言えるデンマークの国民性が影響しているのか、彼らは多様性に対しても寛大です。話の輪の中にいかなる人が加わっても、滅多なことでは動じません。「みんなが違って当たり前」という概念を、無意識に持っているのではないかと思えます。

今回は、私の中にそんな感覚が湧き起こるきっかけとなった事例について、書き綴っていきます。

デンマーク滞在中に、私はいくつかの幼稚園、小・中学校を訪ねたのですが、そこにある共通点を見つけました。そのひとつが、至るところに置かれた、「テーブルとベンチ」です。そうです。子供だって腰掛けて休憩したり、日なたぼっこしたり、おしゃべりしたいはずです。確かにテーブルとベンチがあれば、そこでやり取りが始まり、自然に他者との関わり合いが生まれます。

またグラウンドには、焚き火のスペースがありました。北欧では幼少の頃から火に親しみ、キャンドルは通年、灯される身近な存在です。

子どもの頃からのこうした習慣が、会話好きの国民性を育んでいるのかもしれません。

表も裏もない校舎の設計 教育方針を反映した学校空間

校舎のつくりにも特徴がありました。それは日本の学校のように、建物に表玄関がないということ。一定の方向を向いた「四角い建物に四角いグラウンド」という構造ではないのです …

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