パナソニックの創業者・松下幸之助の想いを未来に伝承する「パナソニックミュージアム」が3月7日、大阪府門真市にオープンした。創業100周年を記念し、「松下幸之助歴史館」も新築。9日から一般公開され、多くの来場者を集めている。

リニューアルした松下幸之助歴史館と松下幸之助の銅像。
松下幸之助の思いを未来に伝承する場に
「松下幸之助の言葉や歴代の製品を通して、パナソニックの心を未来に伝承したいという想いから広く、皆さまに開かれた豊かな学びの場として開設されました」とパナソニックミュージアム運営課の野智樹氏は話す。オープン時に新聞やテレビで報道されたこともあり、平日も多くの人が訪れている。
このほどオープンしたパナソニックミュージアムは、創業者・松下幸之助の経営観や人生観に触れることができる「松下幸之助歴史館」と、歴代の製品や広告を通じて同社のものづくりの歴史がわかる「ものづくりイズム館」、それらに隣接した「さくら広場」からなる。
新・松下幸之助歴史館は、1933年に同社が大阪市から現・門真市に移転した際、第3次本店を置いた場所に新築した。当時の本店社屋の外観や内装を忠実に再現・復元したという。和歌山で生まれた松下幸之助が大阪で商人としての礎を築き、1918年に松下電気器具製作所(現・パナソニック)を創業。事業拡大と不況の打開を経て、晩年は社会貢献や人材育成などの取り組みに注力し、94年の生涯を終えるまでの歩みをたどる構成だ。
松下幸之助が産業人としての真の使命に思い至った「命知元年」(1932年)や、不況期に家電事業が危機を突破するきっかけとなった「熱海会談」(1964年)など、象徴的なエピソードについても多くの写真や資料映像で深く理解することができる。
「ものづくりイズム館」は、旧歴史館をリニューアルし、同社のこれまでの家電製品等から選りすぐったおよそ150点をテーマ別に展示するほか、広告宣伝の変遷についても紹介する。「商売とは、感動を与えることである」「僕は婦人を解放したんや」など松下幸之助の言葉とともに歴代の製品が展示されていることも特徴。ものづくりの背後にある考え方を知ることができる。
館内の収蔵庫にも歴代の製品約400点が置かれているほか、技術者として、松下幸之助を支えた元副社長の中尾哲二郎の業績も紹介している …