
「先見力」の授業 AI時代を勝ち抜く頭の使い方
● 著者/掛谷英紀
● 発行所/かんき出版
● 価格/1400円(税抜)
「先見力」と聞けば、誰もが身につけたいと考える能力だろう。しかし著者の掛谷英紀氏は、本書の冒頭で「お金を稼ぎたいと思ったとき、多くの人はどうすれば成功するかを考えます。そのため、こうすれば成功すると語るビジネス書に手が伸びがちです。けれども、絶対成功するビジネスを予測することは不可能です。上手くいくことが誰の目にも明らかなものには、多くの人が殺到します。そのため競争が激しくなり、利益が薄くなるのです」と一刀両断する。
筑波大学システム情報系准教授である掛谷氏は、これまでにも「先見力検定」や「高校生先見力懸賞論文」などを実施、先見力のある人材を見分ける方法について研究してきた。2016年に発表された「書籍のレビューに基づく先見性のある人物の特徴分析」は話題を呼んだ。
そんな同氏が「先見力」に興味を持ったのは、「世の人々があまりに先見力がないから」だという。「私が子どもの頃は共産主義に熱狂している大人がたくさんいました。けれどもソ連は崩壊し、中国も計画経済を捨てました …