「本人らしさ」を機械学習によりパターン化、不正なアクセスを検知する

公開日:2017年11月27日

カウリスのオフィス。東京・大手町の「FINOLAB」内に拠点を構える。

FinTech市場の拡大とともに不正ユーザーによる被害も増大

日本でも広がりつつあるFinTech市場。オンライン上での便利な決済手段が広がればユーザーにとってメリットはあるが、一方で課題となってくるのが、この環境を悪用する不正行為者の存在だ。こうした問題に着目し、2015年12月に設立されたカウリスは、翌年10月より法人向け不正アクセス検知サービス「FraudAlert(フロードアラート)」を提供している。

代表取締役CEOの島津敦好氏はドリコム、ロゼッタストーン・ジャパンを経て、前職では不正ログイン検知サービスを提供するCapy社に在籍。同社在籍中に「金融イノベーションビジネスカンファレンスFIBC2015」のピッチコンテストにて優勝を果たす。その後、カウリスを創業し、現在までにソニー、電通国際情報サービスからの出資を得た。

「FraudAlert」はユーザーのIPアドレスや位置情報など50以上の要素をもとに、「その人らしさ」や「その人らしいふるまい」を機械学習によりパターン化し、アクセスがあった際にリアルタイムに照合することで不正なアクセスを検知するサービスだ。

役員には日本にUber、ロゼッタストーンの事業を持ち込んだ塩濱剛治氏、OpenID Foundation Japanの事務局長も務める眞武信和氏らが名を連ねるほか、経営顧問としてトレンドマイクロ創業社長の吉田宣也氏も参画している。

島津氏は起業に至った経緯を「例えば、ECサイトの売上の0.3~0.5%が不正に取得されたクレジットカードによる支払いだと言われている。さらに2015年には日本の上場企業の3社に1社が不正ユーザーによる被害を受けているとの調査結果も発表された。今後、ECや金融業界以外でも、車や家具、家電などの高額商品ではサブスクリプションモデルが普及していくことも予測され、不正ユーザー対策は、多くの企業にとって大きな課題となっていくはず」と説明する。

不正情報をシェアすることでコストを下げ、検知精度を高める

カウリスの「FraudAlert」の特徴のひとつが、ユーザビリティとセキュリティの両立だ。「不正ユーザー対策のために追加認証を始める企業も増えているが、そこで課題となるのはユーザビリティが損われたせいで、ユーザーが離反してしまうこと ...

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