
おすすめ書籍
岡部氏のお薦めの1冊は、田中浩也著『SFを実現する 3Dプリンタの想像力』(講談社現代新書)。「田中氏は本著の中で『3Dプリンタで何がつくれるのか』という質問をよく受けるが、あくまでデジタル工作機械は創造や発想を刺激する『発明』ツールであると述べています。当大学にも3Dプリンタを設置していますが、ツールがあればそれでクリエイティビティが育まれるわけではない。創作の動機づけとなるものは何なのかは、教育学の観点からも関心のあるテーマ」(岡部氏)。
新しい価値観を持った「ファブラボ」に集う人たち
日本発の「ファブラボ」である「FabLab Kamakura」。施設内に設置されたデジタル工作機械を使い、ものづくりをする人たちは、年齢に関係なく互いに教え合い、そして学び合っている。そんな光景を見て、東京都市大学の岡部大介准教授は先進国を中心に、世界的なムーブメントとなっている「創造的生活者」に関心を寄せ、研究対象にしている。
もともと教育学の出身である岡部氏は、学びにおける“動機づけとなるもの”に関心を持っていた。そこで初めに着目したのは趣味的世界、具体的にはコスプレを始めとするオタク文化における二次創作活動だった ...