2005年から電通が開催してきたトークイベント「電通デザイントーク」の書籍化第一弾を記念し、電通の髙崎卓馬氏、岸勇希氏、博報堂ケトルの嶋浩一郎氏の3名のクリエイティブディレクターが、広告を目指す若者向けに向けて語るトークショーが、7月4日に電通ホールで開かれた。3名が持ち寄ったキーワードを元に描かれた「広告の現在と未来の課題」とは?

今一番気になる「キーワード」は?
岸 「広告という場で、様々な技術、筋力を身につけた『人』が、世の中の様々な場所で必要とされ、活躍するようになる」。髙崎と僕の上司である古川裕也という人の言葉ですが、広告の仕事を通じて身につく力はたくさんあります。言語化する力、論理的に整理する力、プレゼンテーション力など。我々3人は異なるバックボーンを持ち、必殺技も違います。今日は各人にいま一番話したいことをキーワードとして挙げてきてもらいました。それをシャッフルで出しながら、ぶっつけ本番で話していきます。
キーワード1:「育成」
嶋 これは僕が挙げました。ケトルは今年9年目です。クリエイティブエージェンシーの多くは、創業者のタレント(才能)と共に成長して、衰退していきますが、ケトルでは「下を育てる」ことにチャレンジしようと思っているんです。ケトルには「ヤカン磨きの会」があって、社員が自分の仕事で新たに発見したことを…