「言葉を扱う仕事」の増加と、プロの技術・思考プロセスへの探求心
ここ数年、コンサルタントとして求められる役割が徐々に変化していると感じていました。従来の調査・分析業務だけでなく、経営者の方々と共に「どんな言葉で自社の未来やビジョンを語るか」という本質的な議論に取り組む仕事が増えてきています。 その中で、お客様と一緒に言葉を決めてご納得いただいたものの、ふと「本当にお客様にとってベストな言葉だったのだろうか」と後から自問自答することがありました。言葉で表現する技術を基礎から身に着け、確固たる自信と根拠を持ってお客様と言葉を交わせるようになりたいと思ったのが最初のきっかけです。 一般的にコンサルタントがコピーライターの専門講座に通うケースは珍しいかもしれませんが、言葉や表現の分野で最も歴史と実績があるトップ講座として『コピーライター養成講座』の存在を知りました。案内ページを見た際、第一線で活躍する様々なコピーライターやクリエイティブディレクターが講師陣に名を連ねており、「一つの型にはまるのではなく、言葉を仕事にする多様なプロの生きた思考プロセスに触れられる」という点に大きな魅力を感じました。 受講前に参加したオンライン説明会では、ワークショップ形式の講義を体験する機会がありました。その空気感や体験を通じて、「これは単にコピーのお作法やテクニックを学ぶ講座ではない」と確信できたことが、受講を決意した大きな決め手となりました。
「コピーに正解はない」という大前提と、胸を打つ数々の言葉とエピソード
約半年にわたる講義を通じて強く心に残ったのは、講師の方々がそれぞれに「自分の考える良いコピーとは何か」を情熱を持って教えてくださり、同時に「良いコピーにたった一つの正解はない」という大前提を示してくださったことです。コピーとは答え合わせではなく、思考をどこまで深められるかという探求であると気づかされました。 講師陣の豊富な経験に基づくお話は非常にバラエティに富んでおり、どれを聞いても新鮮な発見ばかりでした。時には講師の方ご自身の熱量や作品の背景にあるドラマに触れ、胸が熱くなって思わず涙が出てしまうような感動的な講義もありました。普段のコンサルティング業務や論理的思考だけでは決して出会えない言葉の奥深さや情緒的なアプローチに触れられて、毎回本当に刺激的で贅沢な時間でした。 受講直前に著書を拝読していた細田高広先生をはじめ、「自分の思考の軸」を持つ講師の方々に出会えたことは、私の大きな財産になっています。
対面で感じる第一線のオーラと、仲間との心地よい刺激
受講スタイルは対面とオンラインを選べましたが、「第一線のプロに直接お会いし、その空気感やオーラを生で感じられる貴重な機会を逃したくない」と考え、毎週講義がある日は「必ず19時にリアルの教室の席に着く」というルールを自分自身に課して通い切りました。講座期間中は、講義時間だけでなく課題に向き合う時間も捻出する必要があり、タイムマネジメントは簡単ではありませんでした。一方で、課題に妥協せずにじっくり向き合ったことで、たとえ講評で良い評価を得られなかったとしても、そこで学んだことが自分の身になったと考えています。忙しかったと同時に、とても充実した日々でした。 教室には異なる業界や職種の方々が集まっており、講義前後や懇親会を通じて徐々に顔なじみができていきました。課題発表の場で「あ、あの素晴らしいコピーを書いたのはこの人だったんだ」とお互いの存在を認識し合うことで、講義全体に立体感と心地よい緊張感が生まれていました。事務局の皆さんは、ハード面でもソフト面でも手厚くサポートしてくださり、最後までストレスなく完走することができました。
キャッチコピーを軸にした思考の構造化と、仕事への自信
実務で最も大きな変化を感じているのは、資料作成やコミュニケーションにおける「構造化と切り口」の深さです。セミナー資料やワークショップ資料など10ページ以上に及ぶスライドを作成する際、「この資料全体のキャッチコピー(核)となる言葉は何か」を最初に定義し、それに合わせてスライドの順番や展開を論理的に組み立てられるようになりました。 また、講義で行われた、プロジェクトの背景や前提条件を紐解き、目指すべきゴールへの共通認識を作る「オリエンテーション」の技術は実務に直結しています。初対面のクライアントとの対話において、単なる事務的な情報ヒアリングで終わらせず、「お客様の思いや言葉をいかに多角的に引き出すか」という設計において、手法を大いに活用しています。 社内においても、「コピーライター養成講座でプロから学んできた」という裏付けができたことで、提案書や外部セミナー資料の作成において「ぜひ私にやらせてください」と手を挙げられるようになりました。そうして経験を重ねることで、徐々に自身の発信や提案の質が高まっていると自負しています。
「伝える難しさ」を知るからこそ、発言の裏にある「真意」と「文脈」を汲み取る
受講後は、日常の中で見かけるキャッチコピーに意識が向くようになり、さまざまな言葉の表現を吸収したり分析したりする習慣がつきました。しかしそれ以上に大きかったのは、「自分が頭の中で思っていることや感情を、そのまま言葉にするのは非常に難しい」という気づきを得たこ とです。講座で出された課題には試行錯誤しながら取組みましたが、講師の方からの講評では自分の意図と違う解釈を受けることもありました。 自分自身の言いたいことを伝える難しさを身をもって知ったからこそ、クライアントが対話の場で口にされる言葉の「表面」だけをそのまま受け取るのではなく、「いま言葉として発されていることと、頭の中で本当に考えている真意は、もしかしたら少しズレがあるのかもしれない」という意識を常にベースに持つようになりました。 そのため、言葉通りに受け取って終わりにせず、様々な角度から質問を投げかけたり、組織の雰囲気や文脈を重視しながら「お客様が本当に伝えたかった核心は何か」を真摯に探り、心を寄せて対話するスタンスが身につきました。
「書く力」だけでなく「良いものを選ぶ力」も言葉のプロの領域
全40回の講義はどれも刺激的で楽しいものでしたが、その中でも私の印象に残っているのは、「みんなが出した課題の中から、良いと思ったコピーを選んで投票する」という講義です。「良いコピーを書ける人は、良いコピーを選ぶための視点や眼識を備えている」という学びは深い納得とともに記憶に残っています。その講義で私は「良いコピーを選んだ人」の一人として金の鉛筆を頂き、自分のコピーでもらう金の鉛筆とはまた違った嬉しさがありました。 さらに、広告・クリエイティブの専門誌『月刊ブレーン』と連動した企画コンテスト(実在する企業の課題に対してコピーを提案する実践講義)では、自身の提出案が「銀賞」に選ばれました。実際の『月刊ブレーン』の誌面に自分のコピーと名前が掲載され、賞品が届いた時は本当に嬉しく、本気で課題に向き合いプロに評価された経験は、コンサルタントとして言葉を扱う上での大きな自信と糧になっています。 『月刊ブレーン』誌面連動企画について >>詳しくはこちら https://www.sendenkaigi.com/creative/copywriting/basic/curricula/brain-client-work/
誰かの心と行動を変える「言葉の力」。AI時代に求められる人間の価値
コンサルティングの仕事には、言葉と向き合う場面がいくつもあります。 直近でも、社外向け行うセミナー資料の作成で「講師が伝えたいことなら、もっとこう言った方が伝わる」といった提案を行うことがありました。今後はクライアント企業が社外に向けてメッセージを発信する際にも、「より相手の心を動かす伝え方はこうではないでしょうか」と堂々と提案し、頼られる存在を目指しています。 AIが急速に普及するこれからの時代、正しく整った情報やデータ分析はAIの方が早く、間違いも少なくなっていくはずです。だからこそ、人間であるコンサルタントに求められるのは、クライアントの組織の歴史、思い、背景にある文脈を深く汲み取り、問いを立てて課題に寄り添い、背中を押すことだと考えます。言葉には、人の心や行動を変える力があるからこそ、インプットする力・アウトプットする力の両面を常に磨き続けなければなりません。 今振り返っても、その第一歩として本講座を選んだことに迷いはありません。 コピーライターを目指す人だけでなく、相手にどう伝えたら一番届くかを考える営業や企画、コンサルティングなど、人と向き合うすべての人にとって汎用性の高い学びになります。人と人とのコミュニケーションや伝える機会は今後の人生で一生続くからこそ、自分自身の大きな自信と強みになっています。
