コミュニケーションが生まれる空間 Vol.35 トランジットジェネラルオフィス 岡田光氏

Creator File

  • センターラインアソシエイツ 松井るみ氏
  • トランジットジェネラルオフィス 岡田光氏
  • BOOK APART運営者 三田修平氏
  • 極地建築家 村上祐資氏
  • ツクルバ 中村真広氏/村上浩輝氏
  • 木村 英智氏
  • 豊嶋 秀樹氏
  • 木村 英智氏
  • SOLSO代表 齊藤 太一氏
  • 構造エンジニア 金田 充弘氏
  • スペースコンポーザー 谷川 じゅんじ氏
  • トラフ建築設計事務所
バックナンバー
  • 中目黒マドレーヌ店主 田中 真治氏
  • フラワーアーティスト CHAJIN氏
  • AuthaGraph代表 鳴川 肇氏
  • 昼寝城 店主 寒川 一氏
  • ランドスケーププロダクツ代表 中原 慎一郎氏
  • スタンダードトレード代表 渡邊 謙一郎氏
  • ブック・コーディネイター 内沼 晋太郎氏
  • 建築家 谷尻 誠氏
  • 茶人 木村 宗慎氏
  • 建築照明デザイナー 矢野 大輔氏
  • 音響演出家 高橋 琢哉氏
  • 一級建築士 中村 拓志氏
  • 建築家 加藤 匡毅氏
  • デザインチーム KEIKO+MANABU
  • 建築設計プロデューサー 小野 啓司氏
  • インテリア・エクステリアデザイナー 佐野 岳士氏
  • 建築家 木下 昌大氏
  • 建築家 猪熊 純氏
  • 大学教授 手塚 貴晴氏
  • 建築家 二俣 公一氏
  • 建築家 梅村 典孝氏
  • 建築家 長岡 勉氏
  • 建築家 平田 晃久氏
  • 建築家 迫 慶一郎氏
岡田光氏 岡田光

(おかだ・ひかる)

外資系ホテルを経て2003年トランジットジェネラルオフィスに入社、執行役員に就任。
「クラスカ」「堂島ホテル」のプロジェクトマネージメント&オペレーションマネージメント、羽田空港JALラウンジ、JR東日本リゾート列車「TOHOKU EMOTIONなどのプロデュース&プロジェクトマネージメント業務を担当。

Presented by YKKap

まずは縦方向の交流を生む

 僕はもともと外資系のホテルに勤務したのですが、外国のホテルというのはソーシャル化が進んでいます。これはロビー・ソーシャライジングと呼ばれおり、ロビーを開かれた社交の場にし、さまざまなコミュニケーションの生まれる空間にしようというものです。我々が空間を作る際にも、このように「人々の交流が生まれる空間にしたい」という要望をいただくことがありますが、もともと日本人は人と積極的に話す人種ではありませんから、日本で成立させるのは非常に難しいんですね。そこで、空間やインテリアだけでなく、その先の運営の部分で工夫する必要があります。

 まず大切なのは、いきなりお客さん同士の交流を生もうとするのではなく、まずお客さんとオペレーターの交流を生むこと。例えば外国人はホテルのコンシェルジュに対し、レストランや航空券の予約は当たり前、ときには仕事の秘書のようなことまで依頼します。一方で日本人は、せいぜい地図をくださいとか、おすすめのレストランを教えてくださいと言う程度。つまり交流を生むには、かなり運営側が作為を持って取り組んでいかないといけないんです。

 僕が依然手がけたホテル「CLASKA」では、ヨガや水タイプといった、A~Zまでの頭文字で紐づけた「裏メニュー」を用意しました。それをお客さんに紹介し、積極的に利用してもらう。そこにコミュニケーションが生まれたら、「この人はこういう人なんだ」とプロフィールが出来上がります。それによって、新しい提案ができるようになるし、何かの際に他のお客さんに紹介することもできるようになります。

交流を生むツールをつくる

 こうしたツールを作ることは、とても有効な手段です。よくレストランでも、ウエイターやシェフが「お料理はいかがでしたか?」と声をかけたりしますよね。でも結局当たり障りのない言葉のやり取りで終わってしまいがちです。でもそこに何かツールがあると、状況は変わります。

 昨年10月に運航開始した東北のレストラン列車「TOHOKU EMOTION」では、コンセプトブックやお土産物を用意し、それらを乗客のもとへ持っていく際に、それぞれの開発ストーリーや裏話を話すんです。そうして列車そのもののコンセプトや世界観を聞いてもらい、交流した上で、「ところでお料理いかがでしたか?」と聞くと、そこには意味のある会話が生まれます。

 それらのツールを活用して縦方向の交流をまずはつくり出し、それを横方向へ展開していく。そうした運営を行うことで初めて、コミュニケーションが生まれる空間は成立するんだと思います。

「ブレーン」2014年3月号より

「ブレーン」のサイトはこちらから

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ホテル「CLASKA」

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A to Zパンフレット

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TOHOKU EMOTION

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社内で配布されるコミュニケーションツール

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