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三井化学×ブレーン CREATIVE RELAY

没入感を体感できる展示空間を演出

ミラノで開催された「LEXUS DESIGN EVENT 2019 –LEADING WITH LIGHT」で、コラボレーションデザイナーとして参画したのは、ライゾマティクスである。LEXUSのブランドフィロソフィーである「Human centered」を全体のテーマとした本展。メインフロアを抜けた先の、高さ4メートル、奥行き15メートルの真っ暗な空間では、天井から3つの照明が吊るされていた。フォグが満たされた暗闇の中でそのLEDが光を放つと、光の壁が浮かび上がる。時にはドアが開くように見え、時には鑑賞者をも包み込み、ダイナミックな空間体験を生み出した。この展示に使われたLEDライトに取り付けられたレンズは、三井化学の光学計算技術を使って新たに制作されたものだ。
1年以上前から、ライゾマティクスリサーチ ハードウェアエンジニア 坂本洋一さんと三井化学は新しいレンズの開発に挑んできた。「プロジェクターやレーザーが放つ光では実現できない没入感が得られる空間を作りたいと思いました」。その可能性を探り、三井化学とそのグループ会社で光学設計を得意とするアークの技術を使ってレンズを試作。思い描いた光の見え方を探求した。
坂本さんはゼロからレンズそのものを考え直し、光の屈折率、形、拡散の仕方などを試行錯誤した結果、生まれたレンズは拡散度1.39度。市販のレンズに比べるとかなり狭く、光を拡散することなく、集光して平行に飛ばす。さらに、このレンズをリング状に加工することで、光の線を一方向に放つのではなく、壁のような光の面を作り出すことに成功した。「自分でレンズを作ることは難しいけれど、三井化学さんとアークさんに協力頂いたことで、レンズ設計を基にした空間体験をもっと探求してみたい気持ちになりました。空間の中での光の使い方に新たな可能性が見えてきたので、将来的には光学設計と素材を用いた新たな作品にもトライしてみたいです」。

  • 坂本さんが三井化学、アークと共に制作した数々のレンズ
  • 「LEXUS DESIGN EVENT 2019 –LEADING WITH LIGHT」で、このレンズを使って展開されたインスタレーション

今回使った素材について

三井化学が独自の重合技術により開発した高屈折率、高アッベ数、軽量かつ高耐衝撃性を実現したチオウレタン系メガネレンズ材料。世界中の多くのメガネユーザーに選ばれる、薄さと軽さ、割れにくさ、クリアな視界などの特性をバランスよく備えた高屈折率レンズ材料のデファクトスタンダードです。

近年はQuality of Viewのコンセプトのもと、波長制御技術と組み合わせたソリューション提案など、メガネを必要とするすべての人たちに新たな価値を提供するべく、更なる研究開発に取り組んでいます。

COMMENT

三井化学
コーポレート
コミュニケーション部

クリエイティブリレーを始めるまえからライゾマティクスさんとはプロジェクトをしてみたいと思っていたのですが、ようやく実現できました。
坂本さんとのディスカッションを通じて、「光を使った新しい表現をしよう」、と方向性が決まってからが大変でした(笑)
様々なアイデアを実現するために、何度も光学計算と試作、シミュレーションを繰り返し、実際に光の見え具合を確認する作業が続きました。その中にはかなり面白いアイデアもあったので、それもいつかお披露目できるとみなさんを驚かせることができるかもしれません!
巡りあわせで、LEXUSのミラノサローネのインスタレーションで使っていただけたことも幸運なことでした。
今回は、三井化学のレンズ材料という素材だけではなく、アークの光学計算技術を組み合わせましたが、アミューズメント機器や車のヘッドライトの光学設計に使用している光学計算を、こうした新しいアイデアにも応用することで、これまでになかったような技術の広がりにつながることを期待しています。

坂本洋一(Rhizomatiks)
アーティスト、ハードウェアエンジニア。建築事務所を経て、2010年からライゾマティクス所属。「Dimensions」「stripes」など多数のインスタレーションの企画、製作に関わる。 また、個人のアーティストとしては、2008年にICCにて「blank」を展示、近年、アートユニット“9+1”を主宰し国内外にて作品を発表している。現在ICCで開催中の「オープン・スペース 2019」に参加している。
坂本洋一(ライゾマティクス)

Presented by三井化学

Presented by三井化学