第3回 販促会議賞

審査を終えて…審査員からの講評

石田 琢二 氏

若きプランナーたちのパワーを感じることができました。やる気みなぎる若人たちが、この業界にはまだまだいっぱいいます。安心しました!ただし、全体的なレベルは下がっているかもしれませんね。賞を狙っているとは思えないフツーの企画が多かったです。ま、レベルが下がったのは、この賞がプランナーの登竜門として定着してきた証拠かもしれませんが。第4回は、全体的なレベルアップ、そしてビッグアイデアを楽しみにしております!

2001年ベイツ・読広入社、06年より現職。「キリンフリー・ローンチキャンペーン」などを手掛ける。ACCグランプリ(マーケティン グ・エフェクティブネス部門)、JPMプランニング賞グランプリなど受賞。

伊藤 直樹 氏

毎日アイデアと付き合ってます。寝かせたり、混ぜたり、捨てたり。また、他人のアイデアとも毎日付き合ってます。ほめたり、無視したり、嫉妬したり。でも、こんなにたくさんのアイデアに触れる機会はそうありません、この審査みたいに。よく「キラリと光るアイデア」って言いますよね。ほんとに光ったんですよ、いいアイデアが。「ピカッ!」って。でもたまに。ごくごく、たまに。まあ、ふだんを思い返せば自分のアイデアも他人のアイデアもたまにしか光らない。アイデアってそういうものなんでしょうね。光るまで、待たなきゃなぁ。

ADK、GTを経て、2009年11月よりWieden+Kennedy Tokyo クリエイティブディレクター/東京オフィス代表。11年6月にCreative Lab 「PARTY」を設立。東京とニューヨークに拠点を持ち、国内外のクリエイティブワークを手掛ける。07年から10年のカンヌ国際 広告祭で5つの金賞を含む13のライオンを獲得。

吉柳 さおり 氏

もし、この賞がアイデアを1コンテキストで表現するという条件だった場合、あなたが出した企画は1コンテキストでその魅力、効果が伝わる企画だったでしょうか?販促会議賞が回を重ねるごとにアイデアの純粋な面白さより仕組みや企画書の見せ方を受賞作品のパターンに模倣している感があります。広告、販促、PRの垣根がなくなりつつある今、人が動くコミュニケーション=販促という視点でとても旬であるこの分野。ここが基本ではありますが、アイデアがシンプルに面白いことが追求されていくことを今後願っています。

コミュニケーションデザイナー。大手流通衣料改革のための戦略PRや数々の海外企業の日本市場ローンチPRなど、コミュニケーション領域における総合的な戦略PRを手掛ける。2011年より慶應義塾大学非常勤講師。

黒澤 高次 氏

グランプリは素晴らしかった、というか心から感動しました。この企画には流行のSNSもウェブも使われていません。 人を動かすエネルギーとは何か、コア・アイデアとは何か、を改めて教えてくれるスルドイ一撃。脱帽です。同様に、上位作品には、いずれも人々を動機付ける核心に迫っていくものが並んでいます。今回は、実際にダミーやプロトタイプを手作りして写真に取り込んだ具体的かつ体験的な企画書が多かったのもうれしい。生身の人間の体温や、実存の確からしさが感じられると、アイデアの説得力が圧倒的に違うんです。

店頭・プロモーション・ウェブ領域をベースに、新事業開発・コラボレーション業務など幅広く従事。主なクライアントは移動通信、飲料、食品、自動車、家電、小売りなど。08年カンヌライオンショートリスト(サイバー部門)、08年Webby Award Winner、07年ディスプレイデザイン奨励賞など受賞。

児玉 昌彰 氏

受賞した皆さま、おめでとうございます。そして、応募された皆さま、お疲れさまでした。今回はどれも難しい課題だと思っていましたが、思わず声を出して笑ってしまった企画、「う~ん…、なるほど」と感心してしまった企画…、皆さんのアイデアの質の高さに驚かされました。単にコア・アイデア一点突破ではなく、きちんとストーリーを描いて、仕組みまで考えられていた企画が多かったと思います。特に上位となった企画は、実施したらきっと心を動かされ、行動に移してしまいそうなものばかりでした。これだけの課題と企画が集まる機会はなかなかありません。是非もう一度、みなさんの企画書を読み返してみてください。もしかすると、これからの企画のヒントがあるかもしれません。

93年大広入社。ビール・飲料メーカーをはじめ、幅広い分野でコミュニケーションプランナーとしてプランニング・実施に携わる。JPMプランニング賞/金賞、 The MAA Globes Awards/Gold Finalistほか受賞。

嶋 浩一郎 氏

残念ながら“既視感”を感じる企画が多かった。つまり、3回目になる「販促会議賞」にある「型」ができてしまったのだろう。一時期、どのCMも「つづきはウエブで」で終わっていたようなものだ。「型」をまねることは本質的な課題解決にならないことが多いし、「型」ができたとたんにイノベーションは止まってしまう。自戒の気持ちも込めて絶えず新しいアイデアを販促にぶつけていきましょう。

1993年博報堂入社、『広告』編集長を経て、本屋大賞、島耕作×ザ・プレミアムモルツキャンペーンなどを手掛ける。2006年博報堂ケトル設立、現在に至る。NPO本屋大賞実行委員会理事。

孫 生京 氏

「ヒトを動かすアイデア」がコアなので、投票などで多くの方の共感を得た受賞者のアイデアは素晴らしく価値のあるものだと思います。一つ思ったこととしては、販促施策のプランなので、KPIの設定やその計測方法について、明確になっていて欲しいなと思いました。そのアイデアの「拠り所=めざすもの」がはっきりしないと、情緒的な好き嫌い(これも、もちろん大事なんですが!)に依存する企画になってしまう気がします。忙しい中で応募された皆様に、改めて敬意を表します。

1989年電通入社、大規模消費者キャンペーンソリューション「デジモーション」の開発を推進。ソーシャルメディア、スマートフォンなど、デジタル環境をプロモーションに活用する「チーム・デジプロ」を率いる。

高広 伯彦 氏

残念ながら、今回の応募作の中には、グランプリにふさわしい企画がありませんでした。

最近の仕事に、東芝「20XC」、ワコール「踊れ!ラランヌ」など。博報堂、電通、Googleを経て独立。東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリなど多数受賞。主にインタラクティブ領域の企画を踏まえたコミュニケーション企画が現在の主戦場。

林 令一郎 氏

今年は世情がら、人と人の触れ合い、人と地域の触れ合いといったヒューマニズムのある企画が多数ありました。 中でも入選された企画は社会性があり、ユーザー同士のコミュニケーションを創造する点が評価されたと思います。私自身も、分かりやすく商品とユーザーの距離を縮められる企画を高く評価しました。特にグランプリに選ばれた「最後の紙贈り(しおくり)」はダブルミーニングもあり、親子のインサイトを突いた素晴らしい企画であったと思います。
皆さま、ご応募ありがとうございました。

長年サントリー「ペプシ」の販促プランニングに携わる。ペプシマンのキャンペーンを大成功させ、一時はコーラの国内シェア9(コカコーラ):1(ペプシ)だったのを4(コカコーラ):6(ペプシ)に逆転させた影の立役者。そのほか、「アメリカンフットボールワールドカップ日本大会」や「BLUEMAN in Tokyo 」、食品、化粧品、通信会社のキャンペーンディレクターを多数担当。

細川 直哉 氏

消費者にストーリーを語るのではなく、消費者にストーリーを語ってもらうこと。消費者をコミュニケーションの舞台に上げて、彼らが舞台上でもっとも気持ちよく「台詞」をしゃべれる演出をすること。これが広告コミュニケーションに携わる我々の仕事。舞台監督として、参加してくれた消費者の人生に一生の思い出を残せるかどうか。そういう大きな視点でコミュニケーションに挑んでいく作品がもっともっと増えることを望んでいます。販売促進の主人公は企画者ではない。消費者なのですから。

最近の主な仕事として、HP「SHUKATSU It's ME プロジェクト」、ユニクロHEATTECH「HUMAN VENDING MACHINE WORLD TOUR 」、トヨタiQ「THEATER IN THE AIR 」、TDK「ロンドン・ピカデリーサーカスプロジェクト」など。受賞歴として、クリオ賞・アドフェスト・SPIKES ASIA(カンヌアジア)各グランプリ、ニューヨークADC GOLD、カンヌSILVERほか多数。2010年アドフェスト審査員、カンヌライオンズ2011 アウトドア部門審査員も務める。

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