活動報告

第1回研究会

「人が動くO2Oを考える」

2013年7月4日に開催されました第一回共創関係をつくるマーケティング研究会の概要について
ご報告させていただきます。

1. 第一回研究会の主な内容

テーマ:「東海地域における共創関係をつくるには」
石垣 智徳 氏 (南山大学 大学院ビジネス研究科 教授)

テーマ: 『「スマート主婦」調査分析レポート~主婦の「買い物意識」と対応を考える~』
名越 稲美 氏 (株式会社大広 ストラテジックプランニング局第1PG ソリューション統括)
「スマート主婦」調査分析レポート(2,428KB)

テーマ:「ソーシャルとO2Oが拡げるリアル店舗の入口 ~ ネットとリアルのシームレス化 ~」
緒方 恵 氏 (株式会社東急ハンズ ITコマース部 EC企画課)

2. 石垣先生の総括から

~ 特別講演『東海地域における共創関係をつくるには』より ~

学術的な立場から、最新の研究結果を2点ほど紹介しました。

まずは「WEBにおける食品購買」と「店頭での購買」との相互作用について。食品は、味覚情報を送受信することのできないWEBでは、取得できる情報がかなり限られます。そして、品質維持の問題により、配送・返品に大きなコストが伴います。

従来型の店頭購買をどのように組み合わせれば、「味が確かめられず、返品もできない」WEBでの食品購買のリスクを低減できるのか。最も効果的にリピート購入を喚起するパターンは何かを検証しました。

結論から言うと「初回はWEBで見て、店頭で確認して購入そしてまたWEBに戻る」というパターンが最大の効果を生み出します。具体的には、「Webで出品されている商品を、物産展で実際に見て購入することでリスクが下がり、Webでの再度の購入につながった」という状況を指します。商品の特性以外にも「決済や信用リスクの高さ」がネックになるWEB販売ですが、オフラインでの店頭購入を間に挟むことで、効率的にリスクを低減できるようです。

次に、「ギフト・コミュニケーション」について。

昨今、若者の間で缶ジュースくらいのちょっとしたプレゼントを贈り合う現象が観察されています。これは、日本・韓国・中国の若者にも見られるようです。これを単なる贈与ではなく「クチコミ+モノをともなったコミュニケーション」と捉えることで、新たな市場として認識できないかと考えました。ギフトを贈る際には高い確率で「商品に対する口コミ」も行なわれるので、贈り・贈られる中で「商品情報の伝播=消費の連鎖」が発生します。よって、このギフト行為を可視化することでトレンドを誘発できるかもしれません。

~ 株式会社 大広の事例紹介より ~

大広ダイレクトマーケティング総合研究所は、『スマート主婦』についての調査結果を発表。
「高い消費意欲とSNSによる情報の受発信力を併せ持つ層」を『スマート主婦』と名付けて、企業視点からの「上手な付き合い方」を模索しています。
『スマート主婦』は興味の範囲が広く、新商品を購入する可能性や新しい買い方の受容性が高くあります。
なので、ブランドや企業にとってライフタイムバリューの視点で見れば必ずしも優良客と言えないかもしれません。
しかし、情報発信に積極的であることから、ほかのお客様に商品を紹介してくれる」という付加価値があります。
『スマート主婦』は若い年代に多く、今後増えていくことが予想されます。
その一方で、『スマート主婦』的な要素をところどころしかもっていない人やほとんどもっていない人も、存在します。
顧客と一緒に商品開発を行うとしても、そこに参画の度合いの高い人もいれば低い人もいるでしょう。
様々な方が、心地よく賛同してついてきてくださるような、コミュニケーション設計が重要ではないでしょうか。

なお、『スマート主婦』は若い年代に多く、今後増えていくと予想されます。

~ 株式会社 東急ハンズ様の事例紹介より ~

東急ハンズ様にはソーシャルメディアの活用例について発表していただきしました。

東急ハンズ様では、本社と各支店とで別のTwitterアカウントを使用して情報発信をしています。全体に関する情報は本社より発信し、商品についての細かい情報は各支店から発信するという使い分けをするためです。これによって、「○○という商品を探してるんだけど……新宿店に○○は置いてる?」という顧客からの細かい質問にも、少ないステップで、素早く対応できるようになりました。新商品についても、入荷後すぐに発信できる体制を整えられます。これにより顧客満足を高めつつ、店舗への動線を確保することができました。いわば「WEBにも接客員を配置する」手法であり、東急ハンズのブランドイメージに沿った方法と言えます素晴らしいものです。

情報発信には人的コストがつきものだと思われています。しかし、東急ハンズ様では通常業務と平行して情報発信を行なうとともに、発信のレギュレーションはもともと存在する「店舗での接客マニュアル」に沿う形として、任せています。、情報発信前に内容をのチェックするところはおいていません。機構は置かず、ツイートの基となる新商品のネタについてはそれぞれの部署によって提供されています。また、「Twitterの対応時間を本社の営業時間と合わせる」という割り切り方が特徴的でした。あえて24時間対応にしないことで、無機質なTwitterアカウントにも“社員”としての人格を持たせることに成功していました。

~ 全体ディスカッションより ~

顧客の購買活動が変化したことで、単純な売り上げのみを基準にしていては「顧客と企業との間の認識にそごが生まれる」可能性が強くなりました。しかし「顧客からの信頼」は数値にしづらく、それゆえに「信頼感を醸成するための施策」に予算を割くことが難しくなっています。よって、まずは小さな規模で開始してみることと、社内リテラシーを高めることが重要と思われます。そして、ソーシャルメディアを利用した施策はすぐに効果が見える性質のものではないので、とにかく「継続すること」が大切です。

さらに、ブランドイメージによって取るべき施策が変わってくるという点も忘れてはいけない点です。高級なイメージを持つブランドであれば気さくなコミュニケーションがマイナスになる場合もありますし、BtoBの企業ならば、そもそも一般顧客に対してコミュニケーションする必要がないかもしれません。

施策についての戦略はもちろん、各社ごとのイメージ・顧客層に合わせた「その企業ならではのコミュニケーション」が重要になっていきます。

~ 第一回研究会を通して ~

南山大学 大学院ビジネス研究科教授 石垣 智徳 氏の総括より抜粋

全体を通して、「手段ではなくスタンスが大切」だと感じました。

「ITだから、流行だから」という理由で、ソーシャルメディアを利用しても効果は期待できません。「本当に自社に必要なのか」を考えて選択しなければならないでしょう。顧客の反応が細分化した、これからの020で成功するには「企業として主体的な判断ができるかどうか」がますます重要になるでしょう。

また、大広の『スマート主婦』の事例からは、我々と若い世代の意識の差も感じました。我々は「ネットと現実」の二元論で考えますが、生まれた時からネットに触れているデジタルネイティブの世代にとっては「ネットも現実の一部」です。(一世代以上離れている?)我々には現実感に乏しいと感じられる「ネットの世界」でも、彼らにはそれを気にしておらず、むしろ誰よりも先にかっこよく(クールに)使いこなしたいメディアとして認識しているのかもしれません。

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