活動報告

共創関係をつくるマーケティングカンファレンス2013

2013年11月7日に開催した、「共創関係をつくるマーケティングカンファレンス2013」の概要について報告します。

1. カンファレンス当日のプログラム

「開催にあたり」
中澤 圭介 (「販促会議」 編集長)

研究会報告:
「企業・顧客の共創関係構築の可能性」

石垣 智徳 氏 (南山大学 大学院ビジネス研究科 教授)

講演(第1回研究会より):
「ソーシャルとO2Oが拡げるリアル店舗の入口~ ネットとリアルのシームレス化 ~」

緒方 恵 氏 (東急ハンズ ITコマース部 EC課 ディレクター)

講演(第2回研究会より):
「デジタルコンテンツで顧客とつながる。~ ポカリスエットFacebookページ等を事例に ~」

梅田 亮 氏 (大広 デジタルソリューション局 プロデュースセンター プロデューサー)

パネルディスカッション:
「広告からマーケティングコンテンツへ。~ 顧客に選ばれる絆のつくりかた ~」

【パネラー】
・森下 隆文 氏
(ジェイアール東海髙島屋 ジェイアール名古屋タカシマヤ 販売促進部 広告企画グループ マネージャー)
・各川 潤 氏(敷島製パン マーケティング部 販売促進グループ チーフ)
・伊藤 英雄 氏(ブラザー販売 マーケティング推進部 商品企画2G 担当部長)
・松本 聡 氏(大広 名古屋支社 名古屋コミュニケーションデザイン局 クロスコミュニケーショングループ 部長)

【モデレーター】
中澤 圭介(販促会議 編集長)

石垣先生の総括から

~ 研究会報告「企業・顧客の共創関係構築の可能性」より ~

今回は初めてのカンファレンスということで、前2回分の研究結果報告を中心に、本研究会の概要についても説明します。

本研究会は、マーケティングの成功事例・失敗事例を学ぶことで、企業と私ども研究者、どちらも進歩していくことを目指すものです。単に商品を売る、知らせるといった従来的な話ではなく、顧客と企業が「ともに価値を創造する」関係構築をテーマとしています。

第1回のテーマからは、「商品購買時のクロス効果」について紹介しました。楽天が人気ショップを百貨店の催事に「リアル出店」するという施策を例に、「現実に商品に触れることがネットでの購買に影響を及ぼす」、「商品に感じる知覚リスク(決済・信用・商品についてのリスク)が低減される」という話をしました。

次に、同じく第1回では「ギフト・コミュニケーション」について紹介しました。これは「ギフト」というキーワードから、若者の間の「プレゼントの贈り合い」現象について分析したものです。「ギフトの連鎖消費が起こる」という部分はどの国でも同じですが、プレゼントの「値段」や「意味」については全く違うという点に注意が必要だと思います。

第2回のテーマからは、「スーパーマーケットでのIP-POS分析」による事例を紹介いたしました。昨今では今までよりも細かく、正確な顧客情報を、大量に得られるようになりました。それに伴って「顧客の購買行動」の相対的評価が可能になりました。曜日や販売エリア・プロモーション地区ごとの顧客データ、性別や職業のデータ、プロモーションの結果・施策のデータ、さらにはレビューなどの隣接データ、こういった細かい情報が大量に手に入る現代においては、これらを連携させたプロモーションが重要になります。

上記の文脈で、今後必要とされる「情報のデータベース化」と「連携できる場の構築」の必要性についても説明しました。データベースを構築するための情報の電子化技術や圧縮技術・データ流通の技術などは、以前からは考えられないほどに高いレベルで整備されていす。また、民間レベルでも連携強化の流れが進んでいます。今後は中部においてもこういった活動に賛同する企業が増えて、推進していければと考えています。

~ 東急ハンズ 緒方氏の講演より ~

東急ハンズの緒方氏にはソーシャルメディアの活用例について発表していただきました。

研究会での発表を中心に、より「O2O」という観点を意識した内容を話していただきました。

「O2O」、「ソーシャルメディア」と聞くと、いかにも斬新でインパクトの強い施策をするべきだという感じがしてしまいます。しかし、東急ハンズではそれらを「スマートフォンを使ってうまく商品を売ること」だと、とてもクリアーに捉えています。「顧客はハンズに何を求めているのか」。ツイッターアカウントの使い分けも、ネットショップとリアルショップとの連携も、全ての施策がこの視点から生まれており、ゆえに効果が上がっているのだと感じました。

成功例だけでなく、「ブランドに合わない施策をしたゆえの失敗例」など、なかなか聞くことのできない事例も話していただきました。また、「最高の技術が必ずしも最高のサービスではない」という言葉は、シンプルながら、自社に合った施策を考えることが最優先であることを実感させられました。

そして、個々の施策のお話はもちろん、「施策の成功を通じて『他部署との連携が図れる』」という事実は、ソーシャルメディア施策の「新たな効能」を感じさせるものでした。顧客に向けた効果のみに注目されがちですが、ソーシャルメディアはそのオープン性から、「今まで届くことのなかった『お客様の声』を、直接現場に届けること」を可能とします。この性質を利用することで、社内環境の向上にも期待ができると思います。

~ 大広 デジタルソリューション局 梅田氏の講演より ~

大広デジタルソリューション局の梅田氏からは「顧客につながるデジタルコンテンツ」の事例を紹介しました。

『ポカリスエット』という、確固たるブランドイメージのある商品についての事例は、「ソーシャルメディアでブランドをどう表現していくか」という面でも参考になるものでした。

ユーザーにとっては、その情報が「広告であるか広告でないか」は関係ありません。ユーザーは「面白いか面白くないか」「使える情報かどうか」などの基準で見るかどうかの判断をしています。ゆえに「広告で企業情報を伝える」だけではなくて「ユーザーと共有できるコンテンツを作り、それを介してコミュニケーションする」というスタンスが必要だと考えます。

話題化のためのコンテンツも、企業の提供する商品・サービスの一部だと考えていますし、例えばネット通販なら扱っている商品だけでなく、サイトでの体験も提供サービスの一部になり得ます。このように、「プロモーションコンテンツと企業のサービスが分けられなくなってきている」現状を、以下の施策とともに説明しました。

ポカリスエットでは、ユーザーと企業とで共有できるコンテンツのひとつとして、『ポカリIQチェック』などのFacebookの診断系アプリを行ったことがあります。Facebookでは、このようなコンテンツ(への反応)を通してファンがブランドについてどのように思っているかを知ること(=ソーシャルリスニング)ができるため、中長期的に運営していくことで効果を高めていくことができます。

外部メディアと連携した過去事例では、『POCARI SWEAT REQUEST-ON-LINE』を紹介しました。これはラジオ局であるJ-WAVEとコラボしたポカリスエットの音楽リクエスト番組です。Facebookのクエスチョン機能(アンケート)から投票してもらい、結果に合わせて曲をランキング形式で流すというコンセプトで実施したものです。ユーザーコメントや自由な曲リクエストも紹介し、結果として、ファンの活性化や、さらなるファン数の増加に寄与しました。

「コンテンツと商品が分けられない」以上、ユーザーが自主的に参加したいと思えるようなものでなくては、思うような効果があがりません、楽しんでもらえたり、便利に使ってもらえたりするようなコンテンツを制作することが、これからのマーケティングにおいて重要として講演を結びました。

~ パネルディスカッションより ~

パネルディスカッションでは、業種の全く違う4人が登場し、それぞれ語り合ってもらいました。同じ質問であっても、業種の違いによってレスポンスが変わります。普段はなかなか伺うことのできない貴重な話もあり、有意義な議論だと感じました。各々の商品・ブランド、抱えている課題は異なっていましたが、根本の部分でつながっていたことがとても印象に残っています。以下にその一部を示します。

・「情報にあふれている世の中では、話題になるための情報のフックをつくることが重要」。

・「顧客にとって必要な情報をそのままではなく、いかに工夫して伝えられるか。それこそが実は一番大切」。

・「出した情報は、誰に対してどのような変化を期待するものなのか。話題性ばかりではなく、原点をしっかり考え直す必要がある」。

・「自社らしさを追求すれば、無理なく施策を続けることができる。ブランド自体に好感を持ってもらえる」。

これらはそれぞれ異なる質問、異なる業界の方からの意見です。パネルディスカッションでは、業種によらず、マーケティングに関わる人に気付きのある話をきくことができました。

「広告からマーケティングコンテンツ」へシフトすると言われ、スマートフォンの普及をきっかけに情報を得る手段や顧客にアプローチする方法が数多く登場して来ています。ただ、変化がめまぐるしいからこそ「O2O、コンテンツマーケティング」といった言葉に振り回されるのではなく、「マーケティングの基本を押さえた施策」は何か、ということを最初に考える必要があるのではと思います。

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