あらゆる市場がコモディティ化し、小売業によるPB商品が普及する中で、商品購入場面でダイレクトに訴求が図れる「パッケージ」は売り上げを左右する要素であり、マーケティング戦略においても、重要性を増しています。また、新しいメディアが次々と誕生し、生活者とのコミュニケーションが複雑になる中で、全体のコミュニケーション戦略において商品そのものでもあるパッケージをいかに機能させるかという視点も求められるようになってきました。
パッケージの決定は、ブランドを作り上げるマーケティングサークルにおいて、第1段階にあたります。しかし、このようにブランドの土台となる重要で責任重大な工程にも関わらず、パッケージをディレクションするスキルは、社内で体系化されておらず、経験に頼った判断がなされていることが多くあります。結果として、企業のパッケージ担当者や、担当デザイナーの勘・好き嫌いでパッケージが決定されてしまうという現実が多く見受けられます。
社内に優秀なデザイナーを抱えるということがベストの選択肢のように考えられますが、それには時間とコストがかかり、体力的に厳しい企業も多くあります。また、いかに優秀なデザイナーであってもマンネリ化するリスクがあり、潮目が早く切り替わる現代の市場において、常に生活者に受け入れられるデザインを考えるのは並大抵の事ではありません。そこで重要になってくるのが、適切なデザインディレクションのノウハウを社内に蓄積し、状況に合わせて外部のデザイナーと連携することです。
また提案する側のデザイナーにとっても、企業がどのような視点でパッケージを評価するのかを知らなければ、的外れなデザインを作ることになります。
そこで、宣伝会議では属人的な体制からしっかりと組織に根付くパッケージディレクションのノウハウを伝えるために、「パッケージデザイン・ディレクション講座」を開催します。
1日目
時間 | テーマ | 内容 |
10:00 〜 12:00 |
パッケージデザインに求められる 役割とディレクション | ・パッケージが果たす役割とその変化 ・売場で変わるパッケージデザイン ・調査とデザイン ・強いデザインとは ・ディレクションの重要性 |
13:00 〜 15:00 |
パッケージデザインを考える上で必要となるインサイトからプロモーションのプランニングの考え方 | ・パッケージデザインの役割
・適切なディレクションやオリエンの方法 ・参加企業事例の考察 |
15:20 〜 17:20 |
ブランドをデザインに落とし込む | ・ブランディングとパッケージ ・ブランディングとは先鋭化と体系化 ・ブランドアイデンティティを考える ・デザインの5つのポイント ・売り場で力を発揮する ・「鶴の一声」防止法 |
2日目
時間 | テーマ | 内容 |
10:00 〜 12:00 |
「パッケージデザインに商品価値を込めていく」こととは | ・ブランディングの理想形&事例紹介 ・ワーク課題発表 |
13:00 〜 14:30 |
ワーク演習 | ・プレゼンテーション ・講評 |
14:50 〜 17:50 |
パッケージデザインの改善・ディレクションポイント | ・パッケージデザインのリニューアル ・基本的なディレクション工程 ・コンセプトワークの大切さ ・外部クリエーターとのやりとり ・担当者の立ち位置とやるべきこと |
山﨑 茂氏
株式会社コーセー宣伝部 クリエイティブディレクター
1986年多摩美術大学卒業。印刷会社、文具メーカーを経て、1992年コーセー入社。化粧品のプロダクトデザイン、パッケージデザインに従事し、多くのブランド、商品の開発を手がける。2006年より宣伝部クリエイティブディレクター。広告宣伝制作、スペースデザインを経て、現在、店頭デザイン全般を統括。2010年より多摩美術大学で毎週土曜日、パッケージデザインを教える。2012年より日本パッケージデザイン協会理事。「日本パッケージデザイン大賞」の審査員を務め、年鑑の企画、編集を行う。企画・コーディネートした『インハウスデザイナーの可能性/明治 キリンビバレッジ コーセー』を開催。
左合 ひとみ氏
株式会社左合ひとみデザイン室 代表
グラフィックデザイナー
東京藝術大学美術学部卒業後、パルコ広告制作局、カメレオンを経て1988年より現職。企業と顧客のコミュニケーションをデザインすることによる問題解決と新しい価値の創出を目指し、幅広い領域で活動。最近の仕事に世界初の英語版百人一首「WHACK A
WAKA」のパッケージデザインなどがある。香川県の「小豆島ヘルシーランド」の「オリーヴの森」ブランド構築や、広島県のもみじまんじゅうの老舗和菓子舗「藤い屋」のリブランディングと新ブランド「古今果」構築など地域産業活性化のプロジェクトも多い。JAGDA運営委員、地産デザイン委員会委員長。大阪芸術大学短期大学部客員教授。2003年から2013年までグッドデザイン賞審査委員。現在「パッケージングコンテスト」「おいしい東北パッケージデザイン展」他の審査委員も務める。
亀谷 勉氏
グラビティーワン株式会社 代表取締役
1968年東京生まれ。92年、米国サンフランシスコにてクリエイターとしての活動を始める。98年に帰国し、外資系ブランディングエイジェンシーを経て、2004年にグラビティー・ワンを設立。ファッションアパレルから電子機器、清涼飲料からワイン、家庭用品から金融サービスまで、国内外問わず幅広い企業のブラン・ディング戦略とデザインを手がける。また、企業だけでなく政府系機関・NPONGOでの経験も多数有す。06年、一橋大学大学院国際企業戦略研究科(国立MBAスクール)にて、日本で初めての経営の実践教育として設けられたデザインとブランドの直伝コース「Brand
Strategy & Design」の講師。
河西 達也氏
株式会社THAT'S ALL RIGHT.
アートディレクター
1980年 神奈川県鎌倉市出身。桑沢デザイン研究所 中退。ドラフト(D-BROS)を経て、2010年THAT'S ALL RIGHT.の立ち上げに参加。近年ではお菓子のブランド開発に注力。物件の選定・商品開発・CI・パッケージ・店舗デザイン・ディスプレイ計画・ユニフォームまでトータルでデザイン。
後藤 哲也氏
Mr. G inc. プロデューサー / クリエイティヴディレクター
97年パルコに入社。社外のプロジェクトを中心にデザインを重視したコーディネート業に没頭する。近年では、企業ブランディングからCM、パッケージデザインなど幅広く手掛け、クリエイティブにこだわりのある人との仕事が多い。プロジェクトの度に「今度こそ間に合わないかも!?」を連呼しつつも、優秀な外部スタッフに助けられ、なんとか間に合わせる日々を過ごす。2018年独立。