今、校正・校閲は編集者・ライターに限らず、PR誌、広報誌、フリーペーパー、Webコンテンツ、さらには企画書などのビジネス文書にいたるまで、文字情報を発信するメディアに関わるすべての人にとって、必要不可欠な作業となっています。
社会状況の激変にともない、校正・校閲を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。それは、取りも直さず、校正・校閲の役割も大きく変わらざるをえない、ということでもあります。誤字・脱字の訂正は当然として、記述された事実内容の確認や、文章表現の適否の判断まで求められるようになってきました。
文字や数字の誤りが情報の信頼性を損ない、差別表現などの不適切な表現が出版物の回収を余儀なくし、時に訴訟沙汰に発展することもあります。
一方、わが国の言語・文字環境-漢字と仮名の混在、外来語の流入など-はいよいよ複雑さを増しています。さらにデジタル化の進展によって制作工程の革新が進み情報検索の手法も大きく変わりつつあります。校正・校閲の作業は量的にも質的にも変化し、その負うべき責任は増大しています。
校正・校閲は品質管理にとどまらず、危機管理の任務も負わなければならない。それが現在の、そしてこれからの校正・校閲のありかたなのです。
このような校正・校閲をとりまく状況の変化を鑑み、宣伝会議では、情報発信に関わるすべての方々に向け、「校正・校閲力養成講座」を開講することにいたしました。皆さまのご参加をお待ち申し上げます。
時間 | 講義内容 |
10:00 - 12:00 | プロの現場での最新実務に学ぶ校正・校閲の基本・常識
・そもそも校正・校閲とは ・間違いの種類と見つけ方 ・校正・校閲軽視は何をもたらすか ・校正・校閲の体制やフロー ・時代と校正・校閲 他 |
13:00 - 15:00 | 演習を交えて校正・校閲マインドを身に付ける
・知っておきたい基礎知識 ・校正・校閲に求められる配慮・意識 ・変化する時代への対応 ・IT化の利点と弱点・盲点 ・スキル以上に求められるマインド ・演習 他 |
15:20 - 17:20 | 広告における校正・校閲
・消費者視点におけるチェック ・書籍とは違う販促物・広告の校閲 ・誤字脱字防止法 ・事故実例から学ぶ ・演習 |
木下 彰二氏
有限会社共同制作社 代表取締役社長
出版社や編集プロダクションの勤務を経て、1996年にフリーランス校正者として共同制作社に登録。98年に編集者として同社入社。2003 年校正部へ転属し部長職を経て、12年代表取締役社長に就任。校正・校閲は単行本・文庫をはじめ、週刊誌、PR誌、通販カタログ、業務用カタログ、流通チラシなど、校正者と制作ディレクターの両方の立場から携わる。
岡崎 聡氏
株式会社ダンク 取締役社長
1959年生まれ。フリーランスでの編集・取材カメラマンなどを経て、94年より株式会社ダンクに所属。以来約20 年、流通チラシや通販カタログを中心に、校正、進行管理、クライアント対応などに携わる。消費者視点チェックという広告校正のノウハウを、広告媒体以外の幅広い分野においても応用できないかと現在模索中。