長らく「安定した市場」と考えられてきた住宅・不動産市場に「少子高齢化×デジタル」の2つ波が押し寄せ、自社の「成約物件数」に大きな影響を与えることが予想されています。これ表す先行指標の1つである新築着工件数は既に下降トレンド(今後10年で06年対比の約5割に減少)に入っています。
また、コロナ禍によって、物件購入検討者のデジタル化が一気に進み、従来の「リアルの展示場・モデルルーム・内覧」から購入という、リアルをベースとした成功パターンが機能しづらい状況が生まれました。また検討の行動も変化した結果、「自宅での検討」で購入する物件の意向がほぼ固まってしまい、自社を選択肢に加えてもらう前に勝負がついている、という事態も発生しています。
この2つの現象から、今後の住宅・不動産市場は「顧客の数自体は減っているのに、自社の情報は届かず、さらに把握できないタッチポイントで、他社物件に決まっている」という状況が噴出することになります。
そこで必要となるのが、自社が選ばれるための方法論、つまりマーケティング視点を取り入れた施策です。その中心は、購買検討者の心理と行動を読み、検討のルート上に、自社情報を適切に載せ、検討できる状態を作り続けることにあります。
しかし、物件を作り、物件情報を発信することは自社視点で出来ますが、「どうやって伝えれば良いのか?」「何を伝えれば良いのか?」は購買検討者側の視点から考える必要があります。さらに、「どのような情報」を「どこまで伝えることができれば」自社が検討に入り、そして検討から購買へと、スイッチを切り替えさせることが出来るのか、あるべき形と現状の差分を理解し施策に押し込むために、このマーケティング視点が必要とされています。
住宅・不動産独自のマーケティング手法を理解する
従来、売り切り型のセールスを特徴として発展をしてきた住宅業界において、マーケティングの視点は消費者視点に立ち、選ばれる物件・会社になるための全般手法であるため、正確に理解することが難しいものがありました。そこで本格的にこの分野を理解するために、まず業界独自の構造の理解から入ります。不動産とはいかなる特徴を他の業界特性と比べ有しているのか、また購買検討者はどのような検討の道順を辿り、どこにいるのか、そういったフェーズ毎の動きを理解するためのベースを本講義ではお伝えします。これによって、どの検討者層をターゲットにするべきか、そして伝えるべき情報の軸、が形成されるようになります。
マーケティング視点で物件訴求の方法と、攻めるべきターゲットを絞る力を鍛える
物件の価値を上げるためには、マーケティングの視点が必要となります。まずその価値を構成する要素を分解し、物件のポジションと物件特有のユニークな特徴を重ねることによって、訴求点を作り出すことができます。これが、中古・リフォーム・賃貸までを含めると膨大な数に上る物件の中から、「なぜこの物件が良いのか?」「なぜこの物件でなければならないのか?」の訴求点を作りだすための基礎となります。しかし、物件の価値は人によって異なります。また、各社が置かれている状況によって、どのような領域の顧客をターゲットにすべきかも変わってきます。そこで、これら要素を一気通貫で理解し、次に売るべき物件の価値の高め方を、対象像を考える力によって高めます。
ファネルごとにおけるKPIをどのように策定するべきか
住宅を購入するという過程の中で、ユーザーの態度変容は検討初期に始まり成約までステージが段階ごとに分かれます。「成約=購入」となるわけですが、デジタルマーケティングにおいては成約件数にKPIを定めることに重点を置くだけでは、ユーザーのステージごとの評価が可視化できているとは言い切れません。それは各ファネルの層に対して見るべき指標・評価を作らなければ、ユーザーの態度変容を促す、成約までのナーチャリングが非常に難しくなるという事と同義となります。そこで、不動産におけるKPIはまず何を指標にするべきなのか、マーケティングの礎をお伝えします。
不動産系Webサイトにおける考え方・分析とは
不動産系のWebサイトは、直接営業のアプローチの橋渡しとなる重要なファクターです。ただし、今すぐ家を買いたいという顕在層を中心に考えるサイトにするのか、それとも購入検討をぼんやりとし始めた潜在層を意識したサイトにするのか、はたまたそれらを統合・加味したサイトにするべきなのか。本来Webサイトの在り方として、ユーザーが迷うことなく情報を正しく摂取しながら、サイト回遊やアクションを自発的に行う場所でなければなりません。そこで、サイト設計、公開後のサイト運営としてPDCAを行うために、どういった分析を行い改善するべきかを学びます。
インターネット広告におけるアプローチ手法と解説
インターネット広告と一重に言っても手法は多種多様であり、各広告が誰に対してどのように配信できるかを知っておかなければ、コンバージョンを効率的に獲得することは難しいと言えます。つまり、単純に掲載すれば集客ができるといった考えではなく、どういったタイミングでユーザーに接触するかを、事前に把握し設計できることが成功の胆となります。本講義では、よく耳にする主要な広告を分かりやすく解説するとともに、不動産業界での広告クリエイティブは一体どんなものがあるのか、実際の事例を交えながら説明します。
時間 | 講義内容 |
第1部(90分) |
不動産業界の特徴とマーケティング戦略
他業界と比較した不動産マーケティングの特徴 ・他業界と不動産マーケティングの違いは? ・不動産業界の構造 不動産業界における「マーケティング」とは ・社会背景や経済動向によるニーズの変化 ・住まい=商品自体のマーケットポジション ・生活者=ライフステージ変化やニーズ 不動産購入におけるカスタマージャーニー ・不動産購入のカスタマージャーニー ・マーケティング視点で考えるメディア戦略 ・各メディアの役割と目的の設定 |
第2部(40分) |
コロナ禍で変化した不動産購入のマインド変化
・コロナで変化した市況感 主に新築物件(新築戸建て/分譲マンションを軸)の販売数の推移 住宅・不動産物件価格帯の推移 地域ごとの推移(大都市圏の都市部と郊外の対比) ・購買者の意識変化 ・マインドの変化から考える、「響く訴求点」と「響かない訴求点の違い」 ・住宅/不動産業界がマークすべき新指標 |
第3部(180分) |
不動産購入のためのデジタルマーケティング概論とその手法理解
(1)デジタルにおける顧客の捉え方 ・コミュニケーション環境の変化について ・デジタルにおけるシナリオ設計 ・顧客分析からのアプローチ方法 (2)サイトや広告ではどのように設計 ・分析/評価を行うのか ・Webサイト設計 ・分析評価 ・Google Analyticsのススメ ・インターネット広告(インプレッション保障/期間保障/インプレッション課金/クリック課金/成果報酬) ・PDCAサイクルとは ・YouTube広告/社内を納得させるメディアプランの考え方 (3)顧客ターゲット作成の実践基礎編/メディアの仕組み ・ペルソナ作成/カスタマージャーニー ・オウンドメディア ・コンテンツマーケティング |
※講師・カリキュラム・講義時間は変更となる場合がございます。
佐々木 崇秀氏
読売広告社 データドリブンマーケティング局 都市生活マーケティングルーム ルーム長
シニアマーケティングディレクター/ワークショップデザイナー※青山学院大学教育履修証明プログラム修了認定
高橋 吉樹氏
株式会社 リブ・コンサルティング
住宅不動産事業本部
マネージャー
服部 浩之氏
電通デジタル エクスペリエンス部門
エクスペリエンスデザイン事業部 コンテンツクリエーショングループ
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スタンダードトレーニング
開講日 |
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定 員 | 無し |
開催場所 |
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受講価格 |
54,000円(税込 59,400円) ※申込金5,000円(税込 5,500円)を含みます |
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