新たな市場は、社会ニーズの汲み取り方と商品に眠る可能性の捉え方次第で開拓できる
前任者のやり方を踏襲するだけでは売上は減退する
多くの日本企業では、一度開発した商品のプロダクト自体に簡単に手を加えられません。ロングセラーブランドであれば、なおの事、失敗が出来ないが故、二の足を踏んでしまいます。しかし、どのような商品にも、遅かれ早かれ商品の衰退期が訪れます。既存の商品カテゴリーにおいては、様々な施策を前任担当者達が行ってきており、過去の踏襲のみでは緩やかな衰退が起きます。その様な場合は、現在のカテゴリーを残しつつ、別の市場にも売上起点を作り新たな市場に参入する事がひとつの手立てになります。しかし、商品はそのままに、新しい市場に参入するノウハウは、多くの企業で持ち合わせておらず何から手を付けるべきなのかも分かりません。
新たな価値を見つけ浸透させることが必要
新規市場で既存商品を定着させるには、新たな商品価値を見つけ、浸透させることが必要です。既に訴求している価値を、新規市場で同じように訴求しても、多くの人は自分事化できません。「ターゲット層に受け入れられそう」などの、感性的なスタートラインから新たな商品価値を考えていると「なぜ自社がするのか」「なぜこの商品でなくてはいけないのか」が欠如し、消費者に支持されない物になってしまいます。そこで講義では、ロジカルに新価値を規定し、新たな市場へと参入する事で、商品自体には手を加えずに新たな商機を見出す方法を習得する「新カテゴリー参入講座」を開催します。
商品を変えないままマーケットを変える極意
どのような商材も、消費者による「良い〇〇とは××だ」という価値基準が、時間の経過と共に形成されてきます。その価値基準の延長線上で、競合商品と同カテゴリー内でシェアを争うためには、商材の差別化による優位性獲得が求められます。しかし、世の中に類似商品が溢れているレッドオーシャンの市場では、シェアに大きな変化を生むことは容易ではありません。一方で、手つかずの市場に対する市場開拓と、気づかずの市場に対する市場開発は、新たな売上起点となる可能性を有しています。これらの実現には「商材が持つ新しいポジション/価値を獲得」する事が必要となります。既に存在している商材を変えることなく、ポジションや価値を見直すことによって、新たな売り上げを生む仕組みを習得します。
市場に受け入れてもらえる新たな価値を発見する
メーカーとして、四六時中、商品に接している担当者は、商品や市場環境についての理解が深い一方、知らず知らずのうちに、何らかの固定概念に捕らわれてしまっているものです。そのような中で、固定概念から離れ、新たな商品価値を発見する事は容易ではありません。突拍子もないアイデアでは、市場に受け入れてもらえません。そこで、社会の風潮を追い風に変える事で、なぜいまこの商品が、この場所に必要なのかを説明する事ができます。新たな取組みを行う際にリスクはつきものですが、大義を作る事で守りの面も固める事が出来ます。講義では、こうした環境下で、シーズと2種類のニーズから新たな価値見つける発想方法を習得します。
新たな価値を伝える戦略・手法を決める
新たな価値を選定して、消費者に浸透させていく中で、手法と内容が最後に重要となります。既に世にある商品の、これまでと異なる価値を浸透させるためには、広告やPRの考え方が活用できます。一点突破で、マスに訴えかけるような手法もあれば、商品価値を多面的に切り出して、複数の価値訴求を行うようなPR的発想もあります。どちらの場合も、シンプルなストーリー作りが重要となってきます。安全性、経済性の「機能的価値」や、共感性、期待値のような「情緒的価値」だけでなく、SDGsのような「社会的価値」を、どのような文脈で、どの手法で伝えるのかまで設計できるよう、講義では事例を交えて学びます。
時間 | 講義内容 |
10:00-12:00 |
商品を変えないままマーケットを変える極意
・新規マーケット開拓の極意と方法論 ・認識の変革が必要な理由 ・商材を変えずに市場を変えるときに考えうる障害と乗り越え方 ・既存商品と新商品との違い |
13:00-15:00 |
新たな商品価値を見出し社会の動きとリンクさせるために社内で必要な議論
・商品/サービスの持つ価値を見出して、世の中に向かって半歩進む勇気を持つ ・目に入らないのは存在しないのと同じ ・世の中視点で、社会の追い風を受けられる商品へと認識を変える ・商品に手は加えず、認識を変えると判断する方法 ・どのような価値訴求を新たに行うかのアイデア発想法 ・社会論調との擦り合わせ ・認識を変化させる施策の種類とモーメント ・「自社らしさ」を守るためにどのような社内説明を行うか |
15:20-17:20 |
認識変化を与えるコンテンツと手法を設計する
・認識変化のメカニズム ・消費者の言葉で語りかけるのが鍵 ・徹底的な消費者理解から設計する ・PR/広告を用いた手法の種類 ・企業事例 ・質疑応答 |
西根 英一氏
株式会社ヘルスケア・ビジネスナレッジ 代表取締役社長
事業構想大学院大学 特任教授、千葉商科大学 特命教授
坂下 義明氏
電通
PRソリューション局 PRプランナー
前田 環氏
ワンダーマン・トンプソン・トウキョウ
シニア ストラテジック プランニング ディレクター