

小売、メーカー、それぞれの立場から、特に東日本大震災の後に感じている店頭や消費者の変化やその変化に対しての課題について語ってもらった。
店頭で起きている変化や課題について参加者が発表、ディスカッションを行った第1回。最初に日本全国の量販店を巡回するフィールドマーチャンダイザー(FMD)をマネジメントし、店頭MD活動を提供するマックスの澤地氏が「ショッパーの購買決定における変化」として、FMDが店舗の担当者に来店客の購入決定要因を尋ねた結果について話をした。それによると、やはり価格が大きな要因であるとしながらも、品質、ブランドといった「+α」が重要であること、そして震災以降は品質、安心・安全などでの購入時点における「不安解消」が大きな決定要因になっていることが分かったという。研究会では、購買不安の解消を店頭でつくり上げる方法を探っていきたいとした。

出典:マックス調べ
続いて、松村氏が特に米国における小売業のトレンドについて解説。次の五つの傾向があるとした。Small(近場で買い物を済ませる傾向、小商圏化)、Local(地域に密着した品ぞろえ、店舗づくり)、Oversea(大手の海外進出の拡大) Net(ネットを活用した販売の割合増加)、 Education(消費者啓蒙:より安全な、より環境負荷の少ない商品はどれか、その理由が何かを表示して顧客に学んでもらう)。これら五つの傾向に加え、さらに業態を超えた競争が激しくなっているとした。
その後、ゲスト参加である4社より、それぞれが実感している店頭における購買行動の変化や、課題として感じていること、取り組んでいることについての発表とディスカッションを実施。
ココカラファインの中山氏は、消費者の生活圏に店舗があることから、食品への取り組みに力を入れ、コンビニエンスストアとコラボレーションした店舗展開を行うなど新しい業態を開拓していると発表。「美と健康」を切り口にしたMD展開と店頭展開にさらに力を入れていくという。
ヤマサ醤油の藤村氏は「店舗×マス×ネット」の重要性について、自社の取り組みを基に発表。
消費者は認知してもさまざまな情報を吟味してから購買するようになっており、何度も購入する「エンジェル顧客」の育成には、つながりをつくるためにもSNSの活用が欠かせず、さらにそれを店頭施策に落とし込むことも欠かせないとしたうえで、「ネットの新技術、新サービス情報のキャッチアップと理解の不足」を課題とした。
スーパーのボランタリーチェーンである全日本食品の遠藤氏からは、被災直後から比べると価格志向が強まっているが、生鮮三品においては安心・安全についてナーバスで、詳しい情報を求めているとした。
対応として産地に加え出荷日時の情報を表示する、魚については水域を表示しているという。また、近辺に日常の買い物ができる店舗が無い、お年寄りを中心とした「買い物弱者」と呼ばれる人たちに向けて、いわゆる「御用聞き」のような注文・配達サービスを実施しており、店舗の売り場だけでなく売り方そのものについて、顧客との絆を強めながら新しい形が出てきていることについて話をした。
EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)を展開している西友の木村氏からは、震災による変化ではなく、「いつ消費者のマインドが日常に戻るのか、変わらないことは何か」ということについて言及。
その時期を見極めることで、震災によって一時中断していた「バスケットプライス」の訴求を再開。店頭ツールにおいても自社のものだけを使うのではなく、メーカーと共同して独自の店頭ツールを作成、展開することも増えてきていると話した。
ココカラファイン 上席執行役員 |
全日本食品 執行役員 |
ヤマサ醤油 東京支店 |
西友 マーケティング本部店舗 |
最後に早稲田大学の守口教授から「店頭における購買阻害要因の調査・研究」について発表いただいた。プロモーションというとどうしても「期待を高める」方に向きがちだが、「不安を低減する」ことも購買の促進につながる可能性が高いという内容。売り場に立ち寄って、不安やためらいを感じるのは32.3%で、それらを感じた人の中で結局購入に至らなかった人の割合は48.5%にのぼるという。
発生する不安の種類として割合が大きかったのが「価格低下」「店舗間格差」「商品間格差」「品質・機能」などで、価格関連の不安、商品・情報関連の不安、家族・健康関連の不安に分けられるとした。また、商品のカテゴリーによって挙がってきやすい不安要素などへの言及もあるなど、今後の店頭施策を行ううえでのヒントがたくさん得られる内容となった。
今回の総括として松村氏は「小商圏、業態の境の無い競争の中で、共通した重要事項はロイヤルカスタマーをつくること。そのためにも来店頻度をいかに高めるかが重要」と話した。また、消費者は賢い買い物をしたいと考えているため、期待レベルの向上とともに、不安レベルの解消が店頭において大切、という守口教授の調査・研究結果の重要性も改めて指摘。そのために訴求していく価値として以下を上げた。
| 1 商品価値 | 「この商品はこんなことに役立ちます、ご存知ですか?」という新しい情報、知らなかった情報。 |
|---|---|
| 2 利便性価値 | 家から300mなどすぐ近くにあり、すぐに購入できる。 |
| 3 「サービス価値」 | 自分に向いているものが何か分かるカウンセリングや、商圏のお客さまになんとか役立ちたいという気持ちからくる各種サービス。 |
| 4 「雰囲気価値」 | 清潔性、楽しさということに加え、店内の雰囲気を証明も含めて明るくすること。ただ、節電のためにも、消費電力の少ないLEDを導入することは必須となる。 |
それらを踏まえたうえで、価格について松村氏は「消費者は最低価格をとにかく求めているわけではなく、前述の四つの価値を総合的に考えて“値ごろ”かどうかを考える」と指摘。他店と値段を比べられるときには、ウォルマートのように「ここで買って、それがほかより高ければ仕方がない」という信頼を勝ち得るか、海外のスーパーのように一部の商材を他店と比べて表示し「決して高くないですよ」とアピールすることも考えられるとした。「とにかく店頭で“価格を気にしている”という姿勢を見せること。そうでないと消費者に受け入れられない」
最後に「消費者は、いつでも、どこでも、どのような方法でも買えること、そして、“買う理由”と“不安の解決”を小売・流通、メーカーに対して望んでいる。顧客との信頼という絆をいかにつくるかを今後の研究会で突き詰めたい」として初回の研究会を終えた。

店頭研究会は3回実施の後セミナーの開催を予定している
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主催:売れる店頭研究会 協力:株式会社宣伝会議/株式会社マックス
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