| ---今年はどんな年鑑になるのか、みなさんのイメージをお聞かせください。
吉岡
「最初に考えたことは、この仕事をやっていてよかった、ここに載りたい、と思ってもらえるようなものでないといけないということ。キラキラ輝いているものを作りたいと単純に思います。書店に置かれて、派手だったり、元気だったり、何かパワーを出しているものであってほしい。」
森本
「私はまず売れて欲しい。次に読みやすい。言葉が選ばれたのだから、言葉を読みやすくという、当たり前のことなんですけど(笑)。次に、それこそチャーミングというか、書店の中で気を発するような年鑑にしたい。最高に好きなアルバムを買ったときのドキドキする感じとか、その予感をさせるようなデザインにしたい。とある作戦はもう考えてますけど・・・。」
吉岡
「そういえば、僕がコピーライターになったきっかけはTCC年鑑でした。コピー年鑑で仲畑貴志さんの“「角」÷H2O”の文章を見て、感動して。本当は編集者になりたいと思ってたけど“こういうのがいいな”と思って。だから言葉が読めるって大事ですよね。もしあのとき、ボディコピーが読めなかったら、僕はコピーライターになっていなかったと思います。」
一倉
「アルバムの話が出たけど、ジャケットがこのセンスなら、中もいいに違いないと感じるものもあるよね。」
森本
「本にもオーラがあると思います。ちょっとめくった瞬間に、ぎゅっと手を掴む何かとか。そういうことが大事な気がします。それから、デザイナーを目指している学生にも読んでほしい。もっと言葉を好きになってほしいから。そういう人たちが開いてくれるような工夫がしたいですね。」
一倉
「僕は新聞社の広告賞の審査委員もやっているけど、そこでもほとんどがビジュアルアイデア、ビジュアル言語。コピーが入っていても入っていなくてもいいみたいな風潮がある。学生達がそう考えているとしたら、やはりコピーライターが頑張らなくちゃいけない。」
吉岡
「以前はいいコピーがあって、いいビジュアルがあって、コピーと絵の掛算といわれる作品はたくさんありましたよね。80年代の資生堂とか全日空とか。」
森本
「みんなが見過ごしている部分を好きにさせる力というか、“その瞬間”のようなものが描けるコピーライターって素敵だなと思ってもらいたい。」
一倉
「そのためにはやはり、選ぶコピーがチャーミングでないといけないね。年鑑を開いて、そこで出会ったコピーがすっと届くような。そういう珠玉の言葉を、大小に関わらず、みなさんに拾ってもらいたいですね。最近、テレビで中島らもさんの生涯を振り返る番組があって、その中で彼はTCCの準新人賞と紹介されていた。つまりノミネート止まりだったんだ。その年、僕も審査員をやっていたけど、彼を選ぶことができなかった。それがくやしくて。TCC賞は新人発掘の場でもあるわけだから、しっかり見ていきたいと思う。」
吉岡
「以前、谷山雅計さんとお話をしているときに、新人にとって年鑑に載ることはすごくうれしくて大変なことなんだという話がでて。年鑑は新人のためにあるといっても過言ではないと。本当にそうだと思いました。新人の人たちに、掲載されてうれしいと思ってもらえるような年鑑にしたいですね。」
---みなさん、今年のコピー年鑑をお楽しみに!
(文章は「TCC會報」より抜粋) |