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デジタルマーケティング年鑑2014 【試し読み】

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デジタルマーケティング リスクマネジメント
ソーシャルメディア対応者のための教訓
文:白井 邦芳(危機管理コンサルタント)
■日々進化するソーシャルメディアリスク

インターネットで情報収集している人口は毎年増加し、利用者の90%以上がTwitterやFacebookなどの主要なソーシャルメディアを利用し、既にこのしくみが深く社会に浸透していることが確認されています。日進月歩でデジタル技術は急速な進化を遂げ、企業のマーケティングを取り巻く環境も激変している中、誰よりも情報を早く知りたいと望む個人の欲求とそれに応えるソーシャルメディアの普及が、さらに爆発的に情報量を増大させ、一度放たれた情報はその適否に関わらず一人歩きし、ネット炎上や風評リスクを引き起こすことも少なくありません。また、そこに重要かつ他では入手できない機密情報が存在しているからこそ、第三者による不正なアクセスやサイバーテロによって情報流出やシステムダウンなどの新たなリスクにさらされていることも事実です。

ソーシャルメディアの恐ろしい点は、そもそもインターネットが普及されたときから危惧されていた見えない相手とのコミュニケーションを通じて一気に拡散する構造そのものにあります。ソーシャルメディアの最大の利点は、不特定多数に情報発信することを前提として、誰でも情報発信に参加でき、その内容はインターネット上に流通することが容易である点にあります。

その悪影響として、これまでにも、製品やサービスの宣伝をしようとした発言が反感を呼び、かえって製品やサービスの評判を落とす結果となる事例も散見されます。反感が連鎖すると「炎上」という現象が一気に発生します。さらに、Twitterでは「リツイート」、Facebookでは「シェア」機能があり、タッチ一つで拡散することができます。誤った情報でさえも一度拡散が始まれば、適切な危機管理対応を速やかに行わなければ、事実として誘導され企業の信用低下につながりかねません。

■Webの世界では即応が危機管理の原則

風評の原動力となった媒体は冒頭の表組みのように時代とともに変遷し、ソーシャルメディアブームとなった昨今では、風評化までの期間はわずか3分程度となっています。

そうした状況を踏まえると、Twitterや2ちゃんねる等で話題になり始めた1時間以内の「混乱期」に、会社としては「初動報告」及び「経過報告」を、NAVERまとめやまとめブログによって拡散が開始された1.5時間から2時間くらいまでの間の「整理期」では、対応報告を、さらにWebニュースサイトで大々的に報道される10時間くらいまでの「拡大時期」では、マスメディアへの正規の発信により話題の沈静化に向けて対応を収束させていくことが重要となります。

また、ソーシャルメディアがテレビ報道に先行して風評を拡散させた事例では、従業員等による不適切なネット書き込みがあり、最近の傾向としてあたかも真実を担保するかのようにブランド名のロゴや自ら名乗るなどして写真を一緒に投稿する事例が増加している点です。Twitterによって最初に発信されたこれらの事例では、それが認知されたときからテレビ報道されるまでの間に1日~3日の日数を要していることが確認されており、このテレビ報道による風評の本格化までのバッファ期間が企業側で危機管理すべき重要な初動対応期間であると考えることができます。

この不適切投稿に対する初動対応としては、以下の危機管理対応が原則となります。

    ●投稿から発見までの時間はできるだけ早くが原則で、可能な限り24時間以内が望ましい。

    ●発見した日時を証拠保全し、会社としての対応発表は24時間以内とする。

    ●テレビ報道より前に会社発表が前提となる。

    ●会社の対応発表は公式ホームページの掲出とし、炎上しているサイトにはホームページのリンクを貼ることで対処する。

    ●公表1回で沈静化が望ましく、最初の発表で事実関係、原因、暫定的措置、再発防止策を網羅することが重要である。

    ●該当店や事業所の措置は軽すぎず重すぎずが重要で過大な対策はかえって関心を呼びさらなる危機を招く。

    ●再発防止策は発生店だけではなく、水平展開として全店舗や全従業員への問題の理解・認識・コンプライアンス行動への啓蒙が不可欠である。

    ●1回の沈静化が難しい場合は、再発防止策の進捗・運用状況など信頼回復につながる情報開示を検討する。

こちらの記事は、「デジタルマーケティング年鑑 2014」より一部抜粋致しました。マーケティングにまつわる概論、アドテクノロジー、事例等をご覧になりたい方には最適の書籍です。詳細、ご購入は下記よりお願い致します。

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